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環境技術 2021


環境技術学会・月刊誌「環境技術」 2021年 特集概要
      目 次 総目次-分野別-
1号 2021年環境行政展望
2号 船舶を取り巻く排ガス規制の動向と技術開発
3号 持続可能な瀬戸内海は実現できるか
4号 水のろ過-古典的なろ過から最新のろ過まで-
5号 酸性降下物による生態系影響の現状と評価
6号 臭気測定と臭気対策



1号 2021年 環境行政展望
<年頭所感>環境大臣 小泉進次郎
 環境省は、今年、環境庁創設から50年、環境省設置から20年の節目を迎えます。この間、公害問題から気候危機へと課題が大きく変化する中で、水俣病を始めとする原点を忘れることなく、「脱炭素社会への移行」、「循環経済への移行」、「分散型社会への移行」という「3つの移行」を通じた、経済社会のリデザインを一層強力に進めてまいります。
 「脱炭素社会への移行」地域における再生可能エネルギーの導入拡大と地産地消に向けた支援を行うとともに、地球温暖化対策推進法の改正の検討を進め、2050年カーボンニュートラルを位置付けること目指します。
 「循環経済への移行」プラスチック全体の資源循環を促進するため、新法の可能性を含め、「プラスチック資源循環」の具体化を進めます。
 「分散型社会への移行」近年、気象災害が頻発する中、自立・分散型のエネルギーシステムの普及・展開等を通じて、地域のレジリエンス強化を進めていきます。国立公園の環境整備を進めるとともに、廃屋対策などの景観の改善や質の向上、電気自動車の活用・優遇や再エネの率先利用などにも注力します。
 国際的には、気候変動枠組条約COP26と生物多様性条約COP15の開催が予定されいます。COP15では、新たな世界目標であるポスト2020生物多様性枠組の策定に向けて、持続可能なサプライチェーンの構築や測定可能な目標設定の議論に貢献するとともに、各国の生物多様性国家戦略の策定支援についての国際連携を推進します。
 間もなく東日本大震災から10年の節目を迎えます。福島の復興・再生のため、除去土壌等の中間貯蔵施設への輸送、特定復興再生拠点区域における家屋等の解体・除染、指定廃棄物の処理、県外最終処分の実現に向けた減容・再利用等を進めます。原子力災害に関しては、各地域の緊急時対応等に基づく防護措置と感染防止対策の両立に努めていきます。
 コロナと気候危機という二つの危機を、より持続可能で強靭な経済社会へのリデザインにつながる機会に変えていけることを祈念しています。
<年頭ずいろん>コロナ禍を越えて変革の時代へ 環境技術学会会長 尾崎博明
地球環境問題の現状と課題 環境省地球環境局総務課 関谷毅史
大気環境行政の現状と課題―石綿飛散防止や更なる大気環境の改善に向けて― 環境省水・大気環境局大気環境課 長坂雄一
水環境行政の現状と課題 環境省水・大気環境局水環境課 筒井誠二
水道行政の現状と課題―水道の基盤強化と広域連携― 厚生労働省医薬・生活衛生局水道課 熊谷和哉
下水道行政の現状と課題 国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道企画課 本田康秀
一般廃棄物行政の現状と課題 環境省環境再生・資源循環局廃棄物適正処理推進課 名倉良雄
新たな水循環基本計画の概要―令和から始まる『新・水戦略』― 内閣官房水循環政策本部事務局 竹島 睦



2号 船舶を取り巻く排ガス規制の動向と技術開発
2021-02-00 編集:大阪市立環境科学研究センター 船坂邦弘
 我が国の貿易量は、輸出入を合わせて年間9億トンを超える。この内99%以上を船舶が運んでおり、海上交通は島国である日本経済の重要な役割を担っている。一方で、船舶による海洋や大気といった環境への影響は古くから指摘されており、時代の要請に応じて技術的な対策がとられてきた。
 海洋環境の汚染防止に関しては、1973年に国際条約(MARPOL条約)が採択されて以降、油(1983)、ばら積み有害液体物質(1987)、廃棄物(1988)、個品有害物質(1992)に対して防止策が講じられた。その後、「船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約(2004)」が国際海事機関(IMO)で採択され、2009年以降はバラスト水処理装置の搭載が義務付けられた(詳細は本誌2009年6号特集を参照)。
 大気汚染対策については2005年以降、段階的に燃料の規制が強化されており、2020年1月には一般海域においても重油燃料中の硫黄分含有率が従来の3.5%から0.5%へと大幅に強化された。今回の排ガス規制強化は、様々な発生源からなる大気汚染物質のうち、港湾域を起因とする粒子状物質(PM)や硫黄酸化物(SOx)の削減が期待されるものである。
 国土交通省では今回の規制強化に伴う具体的な対策として、①規制適合油の使用、②排気ガス洗浄装置(スクラバー)の設置、③LNGの利用を掲げている。また、船舶業界においてはこうした排ガス対策だけではなく、地球温暖化対策も重要な課題として位置づけられている。
2021-02-01 船舶業界の環境への取り組み-排ガスおよび温室効果ガスの規制の動向-
       (国研開法)海上・港湾・航空技術研究所海上技術安全研究所 益田晶子

 法的及び技術的な側面から船舶業界における温暖化も含めた排ガス対策の最新動向について全般的に解説いただいた。船舶を取り巻く環境規制については、その歴史的な経緯も含めて網羅されている。また、温室効果ガス(GHG)規制については、中長期的な目標に加え、将来の代替燃料についても示されている。
2021-02-02 2020年船舶燃料油硫黄分規制強化で期待される大気質改善効果
       明星大学 柳井達也・他

 大気分野からは今回の規制によってどの程度大気が浄化されるのかについての推定方法と、瀬戸内をモデルの対象とした結果を、大学から執筆している。SOXやPMの解析が現在も継続中で、加えてコロナ渦にあって、実情観測期間が限定されているという状況にもかかわらず、試算結果を示している。
2021-02-03 SOx規制関連に係る海運業界での取組・対応・課題について
       (一社)日本船主協会 瀧渾 大・大森一司

 船主業界における取組・対応・課題については、低硫黄燃料油を用いる場合のスラッジの生成やワックス化といった具体的な課題など、その対応と難しさを随所に示している。また、コスト増は業界や企業だけでは負担しきれない点についても触れられており、経済面でも一層関心が高まることが期待される。
2021-02-04 造船業界の環境対応への取り組み-船舶および関連装置に係る技術とサービス-
       三菱造船(株)上田章生・金子秀明・渡辺祐輔

 造船業界の環境対応への取組として、スクラバーシステムやLNG燃料供給システムといった具体的な装置について、写真等も大いに活用し、詳細に解説している。現時点で温室効果ガスの削減にも有効とされるLNGについては適切なガスハンドリングが必要なことや小型化といった新規の取組についても紹介されており、興味深い内容となっている。



3号 持続可能な瀬戸内海は実現できるか
2021-03-00 編集:元神戸学院大学 古武家善成
 1960年代後半から70年代にかけて「死の海」とまで言われ、「赤潮訴訟」まで提起される状態に
なった瀬戸内海も、1973年の瀬戸内海環境保全臨時措置法や、恒久法としての1978年の瀬戸内海環
境保全特別措置法、その下でのCOD、栄養塩の総量規制(2016年度に第8次削減)などの水質規
制の強化により、陸域からの負荷は着実に減少し、水質も改善傾向にあるが、COD、栄養塩の環境
基準達成率は海域により異なり、赤潮や貧酸素水塊の発生が依然として問題になっている。しかし、
一部の海域では貧栄養状態になってきたことから、ノリ養殖への対応として、2015年に措置法が
改正され。「豊かな海」という考え方が導入された。栄養塩に関する基準緩和が検討されている。
 このように瀬戸内海の水域環境には一律に考えられない状況が生じていることから、規制が始
まって50年を経た瀬戸内海の水質および生態系の変化を捉え直し、瀬戸内海の今後を展望する。

2021-03-01 瀬戸内湾における「浮遊生態系と底生生態系の相克」の修復に向けて
       (公社)北海道栽培漁業振興公社 門谷 茂

 瀬戸内海の生態系における直近100年間程度の変遷について詳述し、瀬戸内海を再生させる提言をしている。解析の切り口は「浮遊生態系と底生生態系の相克」という視点であり、高度経済成長における浅海域の埋め立てや垂直護岸の形成、過度の人為的富栄養化などの要因が、その相克を惹起したと述べている。
2021-03-02 瀬戸内海における生態系サービスの価値
       立命館大学 仲上健一

 環境経済学の視点から瀬戸内海の現状を分析している。「生態系サービス」とは、いわゆる「自然の恵み」と言い換えられる概念で、「供給」「調整」「文化」「基盤」「保全」の5つに分けられる。何らかの手法でこれらの恵みを経済的価値に換算して、自然の喪失による価値の損失を、経済的視点で議論する環境経済学の手法が用いられている。
2021-03-03 きれいで、豊かで、賑わいのある持続可能な瀬戸内海の実現可能性
-富栄養化・貧栄養化ヒステリシスから見えてくる将来像-
       九州大学名誉教授 柳 哲雄

 「ヒステリシス現象」とは、物質や系の状態が現在の条件だけでなく過去の履歴の影響を受けることを指し、履歴現象とも言われる。例えば、海域生態系では魚類などの生物量(漁獲量)は栄養塩の濃度や負荷量に影響されるが。同じ栄養塩濃度でも貧栄養化から富栄養化に移行する場合と逆の場合とでは生物応答が異なることが明らかになってきた。
 そのため、瀬戸内海の各海域の栄養塩管理を行う必要があること、その管理は研究者・漁民・環境保全団体などによる超学際的研究の形で実践されることが重要であると、指摘している。
2021-04-04 瀬戸内海における漁業生産量の動向と栄養塩類環境
       兵庫県立農林水産技術センター 半田 寛

 近年の瀬戸内海は栄養塩類濃度(特に窒素濃度)が大きく低下し、貧栄養化とも呼ばれる状況にある。漁業生産を見れば、ノリ養殖生産枚数は1990年代の35~40億枚から20億枚程度に、漁船漁業の漁獲量は1980年代の40万トンレベルから15万トン以下に減少している。兵庫県においても1990年代中頃以後、養殖ノリの色落ちが頻発するとともに漁獲量の減少が続いており、漁獲量の約3分の1を占めてきたイカナゴも同様の経過をたどっている。このような減少原因の一つとして、栄養塩類濃度の低下による生物生産力の低下が危惧されてきた。本報では複数の視点から漁業生産の動向と栄養塩類環境(窒素環境)との関連を考察している。漁獲統計データは特に記す場合を除き、漁業養殖業生産統計年報によっている。(本論文は環境技術2021年4号に掲載されている。)



4号 水のろ過-古典的なろ過から最新のろ過まで-
2021-04-00 編集:京都大学 藤川陽子
 本特集では、水のろ過に係わって、粒状ろ過材による深層ろ過の理論ならびに深層ろ過の応用例の計2論文、その後に膜ろ過を論ずる3論文が並び、色合いの異なるろ過の論文を同時並列的に示している。こめような異例の形になった理由の一つは、膜ろ過に比べて、古典的な深層ろ過について、理論的な取り扱いをする技術者が少ない形跡を認めたためである。古典的な技術になったとはいえ、深層ろ過はいまだに実処理技術として盛んに使われており、その理論をきちんと押さえることは、処理の現場で認められる諸現象を正しく解釈するうえで、非常に重要である。
 しかし、編者の学生時代に、この理論をきちんと学んだ記憶はない。また、本特集を構成するにあたり、環境工学のみならず化学工学関係の多数の大学教員に問い合わせたが、今の大学で、深層ろ過(ヶ-クろ過ではなく)を系統的に教授している例は見当たらなかった。

2021-04-01 深層ろ過の理論一岩崎の式から粒子追跡法までの理論と解析例-
       大阪産業大学名誉教授 尾崎博明、他

 深層ろ過の理論は、1930年代の岩崎の式など古いものから始まるが、その後、粒子軌跡法(軌道理論)が提案され、さらにネットワークモデルや最新の計算流体力学によるシミュレーションなどが続く。古典的な理論の解説と、最新のシミュレーション技術の一端を紹介している。また膜ろ過が、粒状ろ過材による深層ろ過の限界があることに基づいて開発されてきた経緯についても紹介している。
2021-04-02 低価格オンサイトろ過法一鉄バクテリア生物ろ過法、土壌浸透法、高速繊維ろ過一
       京都大学 藤川陽子

 深層ろ過のうち、鉄バクテリア生物ろ過法、土壌浸透法、繊維ろ過法の実例について紹介している。前二者の例は、懸濁物質のろ過というよりは、溶解性物質を微生物反応により粒子状に変換してろ過、あるいは吸着反応で除去するアプローチであるので、懸濁物質のろ過を扱う2021-03-01論文の理論式は必ずしもあてはまらなかった。一方、繊維ろ過については、そのろ過のメカニズムについて、2021-03-01論文を参照して新しい考察を行っている。
2021-04-03 下水処理における膜分離活性汚泥法の採用事例と開発動向
       ㈱クボタ 矢次壮一郎

 膜分離活性汚泥法(MBR)に関する技術を紹介している。汚水処理としてのMBRは標準活性汚泥法に比較して様々なメリットを有しているが、分離膜のコストが比較的高く、また膜の目詰まりを防止するために膜の表面に常時曝気を加える必要があるという欠点があった。一方でMBRは反応水槽容積を小さくでき、処理水水質も優れている。膜のコスト低減に加え、膜洗浄に必要な風量を削減できるように膜を導入しMBR導入の障壁を下げている。
2021-04-04 膜分離法の廃水処理への応用
       東レ㈱ 新谷昌之

 MF/UF膜モジュールが、洗浄を繰り返しながら長期間使用されることから、MF/UF膜には、確実な濁質除去性に加えて、(1) 膜切れを起こさない高い強度、(2) 薬品の繰り返しの使用に対する化学的耐久性、(3) 目詰まりを起こしにくい膜構造が必要という観点から膜の化学構造について紹介している。
2021-04-05 ナノろ過膜による溶質分離と水処理への適用
       大阪産業大学名誉教授 尾崎博明

 各種膜の溶質分離径、代表的対象物質、操作圧力の情報から始まり、ナノ膜ろ過に関する基本及び応用的事項が網羅されている。ろ過対象物質の分子構造とろ過効率の関係も示されている。膜の化学的特性とろ過される物質の化学特性の関係についても論じている。



5号 酸性降下物による生態系影響の現状と評価
2021-05-00 編集:元大阪工業大学 駒井幸雄
 広義の酸性雨は、大気から地上に沈着する湿性と乾性降下物を合わせた酸性降下物のことである。一般には、狭義のpH5.6以下の酸性の降水湿性降下物)の方がなじみ深い。1970年代には、日本各地で降水にあたったアサガオが変色する現象が観測され、文化財を含む屋外の銅像の腐食や石造表面の劣化などの被害が顕在化したことは、身近な環境問題として酸性雨(酸性降下物)が広く認識されるきっかけになった。加えて、酸性降下物は大気の動きに合わせて国境に関わりなく地球全体に長距離輸送され、発生源から遠く離れた生態系にも影響するという地球環境問題であることも、人々の強い関心を引いた。
 酸性降下物(酸性雨)問題の解決に向けた国際的な取り組みには、欧米の49力国が加盟する長距離越境大気汚染条約(1979年締結)と、アジアの13力国が参加し日本が積極的な役割を果たしている東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET、2001年本格稼働)がある。一方、国内では1983年から環境省による陸水を含めた酸性雨対策調査(2003年からは酸性雨長期モニタリング計画、2009年からは越境大気汚染・酸性雨長期モニタリング計画)が実施されている。また、地方自治体の環境系の試験研究機関で構成される全国環境研協議会(全環研)では、1991年から酸性雨全国調査を実施し、日本全域の酸性雨について地域特性や季節変化等の知見を得ている。こうしたモニタリングに加えて、酸性降下物の調査一研究も活発に行われてきたが、本誌も酸性雨をキーワードにした特集をたびたび組み、こうした研究成果を公表する場を積極的に提供してきた。
 さて、環境省は長期モニタリングに基づく酸性雨とその影響についてとりまとめ、我が国の降水は引き続き酸性化した状態にあるが、pHの上昇の兆候が見られること、大気汚染等が原因と見られる森林の衰退は確認されず、モニタリング対象のほとんどの湖沼で、酸性化からの回復の兆候が見られる、としている(令和2年度環境白書)。
 こうした現状評価を踏まえつつ、最新の科学的知見に基づいて、改めて酸性降下物(酸性雨)が森林生態系や河川・湖沼といった水域生態系に対して、どのような影響を及ぼしているのか、そして将来においてどのような問題が起こりうるのか、あるいは改善は可能なのか、を議論することは今後の研究や対策を講ずる上で必要である。

2021-05-01 我が国における窒素沈着量の長期変動-都道府県の調査を中心に-
       京都大学 徳地直子、他

 都道府県の研究所による調査結果を使い、1980年代以前の燃料革命や環境変化に伴う大気からの窒素沈着量の変動について取りまとめている。
2021-05-02 土壌・地質の性質に基づく全国河川水の酸性化リスク評価
       (国研開法)森林研究・整備機構森林総合研究所 山下尚之

 窒素負荷のマスバランスモデルに基づいた全国河川水の酸性化リスク評価方法の解説とその結果、および土壌酸化の臨界負荷量について紹介している。
2021-05-03 日本における陸水酸性化の現状と未来
       (一財)日本環境衛生センターアジア大気汚染研究センター 佐瀬裕之

 伊自良湖等の例を取り上げ陸水の酸性化・窒素飽和と回復の現状、および今後の酸性雨研究の展望について論じている。
2021-05-04 酸性降下物による森林生態系の物質循環への影響一乾性沈着の重要性-
       京都大学 福島慶太郎

 大気から森林に流入する窒素の空間的な不均一性に着目した研究事例の紹介と、酸性降下物による森林生態系への影響についてまとめている。
2021-05-05 森林の窒素飽和とその水環境への影響
       国立環境研究所 渡週未来

 森林における窒素飽和問題について最新の研究成果を含めた総括とともに針葉樹人工林の管理による窒素飽和の改善や緩和の可能性を論じている。



6号 臭気測定と臭気対策

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