Water & Solutions Forum – Water Science, Processing and Maintenance

MENU

懸濁性物質の除去

懸濁性物質の除去

水処理では有機・無機を問わず汚濁物質を水に不溶性の固形物の形に変えて水と分離するのが原則である。例えば、重金属イオンの除去ではpH調整による水酸化物沈殿又は陰イオン添加による不溶性塩を析出させ、固液分離する。
水中の汚濁物質は密度差を利用して沈降または浮上させて除去する。また、ろ材を充填した層内に水を通してこの層内に懸濁物質を捕捉させたり、あるいは微細な孔を通して懸濁粒子の通過を阻止して取り除くといったろ過がある。ろ過の中には、コロイド粒子から分子・イオンまでも除去する膜分離がある。さらに、水を蒸発して溶解物質や懸濁物質を乾固して取り出す方法もある。

1.沈降分離

水よりも密度が大きな物質を、水との密度差を利用して沈降させる方法である。水を一定の場所に長時間滞留させるか、非常にゆっくりと流して浮遊物質を沈殿させる。沈降分離は普通沈殿と後で述べる凝集分離とに分けられる。普通沈殿は凝集沈殿操作を施さずにそのまま沈降分離させるもので、自然沈降とも呼ばれる。
普通沈殿における固形物の分離効率は、固形物の沈降速度分布と装置の表面負荷によって決まる。上昇流式沈殿池では、沈降速度が水の上昇速度より大きい粒子はすべて沈降分離され、水の上昇速度より小さい粒子はすべて流出する。懸濁物質の沈降速度分布を求めて、沈殿池の設計を行う。

2.凝集分離

水中の浮遊物質の粒径が小さく、前述の自然沈殿では処理に長時間を要し、処理効率が悪い場合に行われる。一般に水中に浮遊している微粒子の表面は帯電している。これに反対電荷を持つ薬品を添加して、目的粒子の電荷を中和すると、粒子間の引力が表面荷電による反発力を上回るようになり微粒子同士が凝集して大きな塊(フロック)へと成長していく。このような目的に用いられる薬品を凝集剤と呼ぶ。
水処理には安価で無害である鉄又はアルミニウムの無機塩類が用いられる。高分子凝集剤は少量の添加量で凝集効果があり、しかも大きなフロックができる特徴がある。高分子凝集剤には、陽イオン性、陰イオン性及び非イオン性に分類され、さらにその分子量や分岐によって多くの種類があり、懸濁物質の種類により選択する。

3.浮上分離

水中の懸濁物質の密度が水より小さければ、水面に浮くことになるので、浮上させて分離することが可能である。対象物質としては、油類がその代表的なものである。
また、密度が水よりも大きい懸濁物質であっても、空気の泡を懸濁物質に付着させれば、速やかに浮上する。水中に微細な空気を発生されるには、空気をいったん加圧して水に溶解してから大気圧に解放して微細な気泡を発生させる加圧浮上法の他に、水の電気分解による水素や酸素の微細気泡を利用する方法もある。浮上分離においては、コロイド状の懸濁粒子は分離できないので、あらかじめ凝集処理をしておく必要がある。

4.清澄ろ過

重力式分離(沈降、浮上)で除去できなかった微量の懸濁物質を、さらに清澄な水を得るのが清澄ろ過である。ろ材としては一般に砂が用いられるので、砂ろ過とも呼ばれる。砂ろ過では懸濁粒子はろ材間の空隙に捕捉される。ろ過を続けているうちに、ろ過抵抗が上昇しろ過水の濁度も上昇してくる。ろ過抵抗又はろ過水濁度のいずれかが設定値に達したら、ろ過を中断してろ材を充填した層(ろ層)を洗浄する。この洗浄をろ層の再生という。原水中の懸濁物質の濃度が高いと短時間でろ層が閉塞するので、一般には重力式分離の後に砂ろ過を行う。

5.膜分離

図1に示すように極めて微細な穴を持つ膜を通して水をろ過し、細菌のようなコロイド次元の大きさの懸濁固形物から溶解性物質やイオン物質に至る不純物を除去する技術を膜分離法という。使用する穴の大きさによって、精密ろ過(MF)、限外ろ過(UF)、ナノろ過(NF)、逆浸透(RO)などがある。これらはろ過の駆動力として圧力差を用いている。その他、直流電圧を駆動力とし、イオン交換膜(アニオン膜、カチオン膜)を用いる電気透析法がある。

membrane
図1 分離膜による微細粒子の分離機構

精密ろ過は0.025~10μmの懸濁粒子や細菌などの除去に、限外ろ過は多糖類やタンパク質のような水溶性の高分子物質(分子量1,000~300,000)の除去に用いられているが、最近ではそれらの中間領域の膜が盛んに開発されており、厳密に区別することが困難となっている。膜の材質としては有機及び無機のものが用いられている。膜の細孔径を表すのに、精密ろ過の場合には粒子サイズ既知のラテックスを用いて分画試験を行い、一定の阻止率を与える粒子サイズをもって代表孔径としている。限外ろ過膜の場合はポリエチレングリコールのような分子量既知の物質をトレーサーとして用い、一定の阻止率を与える分子量をその膜の分画分子量とする。
ナノろ過は、限外ろ過と逆浸透の中間に位置するものであり、逆浸透に比べて小さい駆動力で低分子の物質を除去することができる。
水は透過するが、溶質はほとんど透過しない性質を持った膜を逆浸透(半透)膜という。この膜を介して水と溶液を置くと、水だけが溶液側に移動し、ある高さで平衡に達する。このときの水位差を浸透圧といい、溶液の濃度が高いほど高くなる。このとき溶液側に浸透圧以上の圧力をかけると、水溶液側の水だけが半透膜を透過して水側に移動する。このようにして、無機塩類や低分子有機物の水溶液から水だけを取り出すことが可能となる。これが逆浸透膜の原理である。
膜を要素技術として装置化したものを膜モジュールという。現在実用化されている膜モジュールには平膜型、スパイラル型、チューブラー型、中空糸型などがある。平膜型は膜を装着した透水性の多孔板の両面にスペーサーを介して多数重ね合わせたもの、スパイラル型は多孔性支持材を内蔵した封筒状の膜をのり巻き状に巻き込んだもの、チューブラー型は多孔性の耐圧支持管の外側又は内側に膜を装着したもの、中空糸は外径1300μm内径700μmくらいのマカロニ状の細長い中空の膜を多数束ねたものである。
分離膜と微細粒子除去および膜分離活性汚泥法の実験については、別途記載してあるので参考にされたい。

6.蒸発乾固

濃厚溶液の場合には、水分を蒸発させて懸濁性及び溶解性の両成分を乾固させる方法が用いられる。水分の蒸発には加熱法と冷凍法がある。水分の蒸発には、多大なエネルギーを必要とするが、汚濁物質が濃厚(重量濃度が数~数十%)場合や有効な処理方法のない汚濁物質の処理に有効である。

ページトップ


掲載日:2017/05/07
更新日:2017/05/17

PAGETOP
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.