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分離膜-微細な生物・粒子の除去

(執筆中)

膜分離(membrane separation)とは、液体または気体を選択性を持つ隔壁(膜)に通すことで目的物を濾(こ)し分ける操作の総称である。主な膜分離操作として、ろ過や透析が挙げられる。物質移動(ろ過)の推進力は主に圧力差、濃度差、電位差(これらはエネギー形態が異なるが、相互に形態変換が可能)である。ここでは、水処理分野に限定し、分離膜の特徴とその活用について、その概要を紹介する。

1.膜の種類

(1)孔径による分類

水処理分野で利用される分離膜には、精密ろ過(MF: Microfiltration)膜、限外ろ過(Ultrafiltration)膜、ナノろ過(NF: Nanofiltration)膜、および逆浸透(RO: Reverse osmosis)膜の4種類がある。


図1 水中物質の粒子径と分離法

(2)膜素材による分類

分離膜の材質は大きく有機膜と無機膜とに分けられ、有機膜にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、酢酸セルロースなどがある。無機膜にはアルミナ系などがある。
有機膜の原料となる合成樹脂には熱可塑性と熱硬化性に分類される。熱可塑性樹脂は、さらに結晶性と非結晶性のものがある。結晶性樹脂の特徴は、不透明で高い耐熱性・耐溶剤性、高剛性、高硬度であり、もろい、割れやすい、そりやすい、収縮率が大きいという欠点がある。非結晶性樹脂は、耐溶剤性には劣るが、透明で、柔軟・強靱、割れにくい、そりが少ない、収縮率が小さいなどの特徴がある。

(3)膜構造による分類

膜構造は対称性と非対称性に分けられる。
対称膜とは膜断面の構造が均一な膜であり、非対称膜とは断面方法の構造が異なるもので、スキン層と呼ばれる分離機能を担う厚さの薄い緻密層とそれを支える支持層とから構成される。
非対称膜は膜のろ過抵抗がスキン層のみで、透水性能の制御が比較的容易である。また、分画分子量の制御も容易である。

membrane_structure
図2 膜構造の概略図

2.膜分離の基本

(1)膜分離の対称

MF膜・UF膜は物質の大きさと細孔径の大きさの違いによって物質を分離する。一方、NF膜・RO膜では、膜細孔径による分離だけでなく、溶解・拡散などの現象を利用した分離である。

(2)膜の透過機構

透過流束J[m/s]とろ過抵抗R[1/m]との関係は、次式で示される。
J = ΔP/μ/R
ΔP [Pa]: 膜差圧、μ [Pa・s]: 透過液の粘度

透過流束は膜差圧に比例し、透過液の粘度およびろ過抵抗に反比例する。ろ過抵抗Rには複数の要因があり、次式で示される。
R = Rm + Ri +Rc
Rm [1/m]: 膜本来の抵抗、Ri [1/m]: 膜内部の目詰まりによる抵抗、
Rc [1/m]: 膜表面の堆積物による抵抗

Riは膜内部に侵入した物質によるろ過抵抗で、不可逆膜ファウリングと呼ばれ、Rcはろ過膜表面に形成されるゲル層やケーキ層による抵抗で可逆的ファウリングと呼ばれる。Riは運転管理での制御は困難であるが、Rcは、運転管理である程度制御できるので、運転方法が重要となる。

(3)濃度分極現象

膜には、機械的圧力を増加しても透過流束が増加しない現象がある。これを説明する透過メカニズムとしてゲル分極モデルがある。このモデルは原液側表面にゲル層が形成され、この層の抵抗が大きくなることにより透過流束が増加しなくなるモデルのことである。この現象はUF膜でよく見られる現象である。UF膜では高分子物質が膜表面に蓄積・ゲル化することがあり、これにより透過流束が著しく減少する。
また、UF膜の原液側表面の濃度分極による浸透圧が上昇し、有効圧力が減少するというモデルもあり、これを浸透圧モデルと呼ぶ。

3.膜モジュール

膜モジュールには中空糸(内圧または外圧の2方式がある)、スパイラル、平幕、チューブラー、プレート&フレームなどの各型式がある。
膜モジュールの製造工程は、製膜工程(膜性能)とモジュール化工程(モジュール性能)の2つから構成され、各々、全く異なる技術である。したがって、具体的な対象に即した膜分離システムとしての機能性と経済性の両面から膜モジュールの開発が必要となる。

(1)中空糸

中空糸膜は中空状の構造を持つ膜であり、中空糸の外側から内側にろ過する外圧タイプと内側から外側にろ過する内圧タイプがある。
中空糸膜には支持層が2層に分かれ、スキン槽・支持層ともに様々な構造となっている。

図3 中空糸型

(2)スパイラル

スパイラル型膜モジュールは、平幕を封筒状に貼り合わせたものをのり巻き状に巻き込んだものである。
スパイラル型膜モジュールには、原水路に乱流効果を促進するスペーサーネットが入っているので、SSが蓄積しやすいので、前処理に工夫が必要となる。

図4 スパイラル型

(3)平膜

平膜は2枚のシートを貼り合わせたもので、支持体に膜を貼ったタイプと膜を直接貼り合わせたタイプがある。
平膜には固定式と回転体に平膜を貼り合わせたものがある。

図5 平膜型

(4)チューブラー

チューブラー膜は、原水流路が10~15mmと大きいため、懸濁物質を含む原水をろ過しても閉塞が起こりにくい特徴がある。
UF膜・RO膜ともにモジュール化されているが、高い圧力が要求され、また空間効率も低い。

図6 チューブラー型

4.膜分離バイオリアクター

生物反応槽(活性汚泥法や発酵法)などと組合わせて使用されるものを特にメンブレンバイオリアクター(MBR)と呼ぶ。
膜モジュールには平膜、中空糸、チューブラーなどがある。また、MBRには生物反応槽内に膜モジュールを浸漬するタイプ(槽内浸漬型)と曝気槽の外に膜モジュールを設置するタイプ(槽外設置型)がある。槽内浸漬型には精密ろ過膜(細孔が0.1〜0.4μmのMF膜)が多く利用され、平膜または中空糸膜のモジュールから吸引ポンプまたは水頭差圧による重力によりろ過水を得る。

membrane_reactor
図7 活性汚泥法への分離膜モジュールの設置方式

5.膜の運転と管理

(1)ろ過工程

分離膜の運転には、大きく分けてクロスフローろ過と全量ろ過の2つの方式がある。
クロスフロー方式は、膜面に平行に流れをつくり部分的に原水のろ過を行う。全量ろ過では、膜面に垂直に原水を供給しろ過を行う方式である。MF・UF膜モジュールではクロスフロー・全量の両方式が可能であるが、NF・RO膜モジュールではクロスフロー方式のみである。

membrane_flow
図8 分離膜モジュールの運転方式

(2)洗浄

膜ろ過の継続により、膜の目詰まり(ファウリング)が起こる。目詰まりには、膜表面に付着した物質によるもの(可逆的)と膜の表面・内部に蓄積した物質によるもの(不可逆的)がある。
(a)物理洗浄
可逆的目詰まりを対処する洗浄で、逆洗(水や空気)とエアスクラビングがある。
逆洗は、ろ過水の流れの逆方向に水または空気を流して膜表面を洗浄する方法である。
エアスクラビングとは、浸漬型膜モジュールに用いられ、モジュールの下に設置された散気装置からの空気により、膜表面に付着した物質を除去する方法である。
MBRでは逆洗とエアスクラビングが併用されている。
(b)化学洗浄
膜の表面や内部に蓄積した物質を除去し、膜性能を初期の状態に回復するために化学(薬品)洗浄が行われる。
薬品としては、無機物の除去には酸・アルカリなどが、有機物や微生物を除去するには次亜塩素酸などが用いられる。薬品洗浄はモジュールの運転停止を伴い、廃薬品液の処理も必要となる。
薬品洗浄は、一般的には年数回程度である。透過流束を高くすると洗浄頻度は多くなるので、薬品洗浄と透過流束の最適化を行う。最近、MBRではインライン洗浄という方法が開発され、曝気槽に浸漬したまま行う薬品洗浄法が導入されている。

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水関連分離膜の動画事例

水処理膜の世界市場シェア(Share Global; 1:23)
世界に誇る淡水化技術(JVT;4:06)
その他、分離膜に係るメーカーや実用化事例については、動画サイト等で検索・閲覧ください。


引用した文献・資料

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掲載日:2017/05/16
更新日:2017/07/09

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