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浄化槽の設置状況

浄化槽はし尿と雑排水を処理する個別分散型の処理施設であり、下水道未整備地区の公衆衛生の向上と生活環境の保全を目的として整備が進められてきた。。
一方、し尿のみを処理する単独浄化槽は、平成12年の浄化槽法改正により平成13年から新設が原則禁止されたが、依然として多くの単独浄化槽が残存している。浄化槽の所管省である環境省をはじめ都道府県・市町村では、単独浄化槽の合併浄化槽への転換を推進するため、補助制度の創設や転換施策を実施している。
なお、平成12年の法改正で単独浄化槽は「みなし浄化槽」とされ、浄化槽といえば合併浄化槽を示すこととなったが、ここでは、浄化槽の区別を明確とするため、従前の単独および合併の名称で記載する。

1.浄化槽の設置状況

浄化槽の設置基数は、平成27年度末現在、763万基となっている(表1)。内訳は、単独浄化槽が412万基(全体の54%)で、合併浄化槽が350万基(46%)となっている。前年度と比較すると、単独浄化槽では109千基の減少、合併浄化槽では81千基の増加となっている。これは、昭和62年にスタートした国庫補助事業(合併処理浄化槽設置整備事業)の創設以来、合併浄化槽の整備が進められてきたこと、浄化槽法の改正(平成12年成立・公布、平成13年施行)により単独浄化槽の新設の原則禁止と合併浄化槽の設置が義務づけられ、生活排水対策が推進されてきたことによる。
単独・合併浄化槽を構造別に見ると、単独浄化槽については、新基準によるものが41%、旧基準によるものが13%、合併浄化槽については、新構造方式によるものが46%、旧基準によるものが0.2%となっている(図1)。
ここで、浄化槽に係る構造基準は、建築基準法の改訂時期により、旧構造基準(昭和44~56年とそれ以前に設置されたもの)および新構造基準(昭和56年から設置されたもの)に分類される。現在では、「構造基準」は建築基準法の改正により「構造方法」(構造例示型)として浄化槽の構造の一つとして分類され、構造方法として「構造例示型」(旧構造基準、新構造基準)と「性能評価型」に分類されている
表1 浄化槽設置基数
(平成27年度末現在)浄化槽

図1 処理方式別・浄化槽の設置基数
(平成27年度末現在)
規模別浄化槽の設置基数の割合は、5~20人槽が90.9%で、21~100人槽が7.7%、101人以上槽が1.4%となっており、規模が大きくなるぼど設置基数は急激に減少している(図2)。設置基数から見ると、その大半が戸立の一般家庭に設置にされていることが示されている。

201人以上槽(全設置基数に対する割合0.6%)について建築用途別の設置基数の割合は、集合住宅20.8%、店舗13.9%、学校9.6%と続き、その他13.2%となっている(表2)。


図2 規模(人槽区分)別・浄化槽の設置基数
(平成27年度末現在)
表2 建築用途別・浄化槽基数
(201人以上槽区分、平成27年度末現在)

2.浄化槽設置数の推移

もともとは、浄化槽は下水道を利用できない地域で便所を水洗化する場合に設置しなければならない施設として定義されたシステムであった。昭和30年ごろまでの浄化槽は現場打ち・コンクリート組立がほとんであったが、成型が容易で軽量であるガラス繊維強化プラスチック(FRP)を素材としたばっ気型浄化槽が工場で大量生産されるようになると、住宅ブームに乗ってFRP製単独浄化槽が急速に普及するようになった。昭和44年には浄化槽利用人口と下水道利用人口はほぼ同数であり、昭和58年まで拮抗した状況であった(図3)。単独浄化槽は下水道とともに人々の便所の水洗化への要望をかなえる有力な手段であった。

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図3 水洗化率と下水道・浄化槽の利用人口の推移

しかし、単独浄化槽の普及だけが先行し、法的・行政的に対応できず、業界も自主的な対応力に欠けていたため、公共用水域の水質汚濁源の原因となっていたことに加え、悪臭・騒音などの問題を引き起こし地域住民間のトラブルの原因ともなっていた。この頃は、設置は無届けであることも知らず、設置後の保守点検や清掃も未実施のことが多く、浄化槽機能が維持されず近隣への迷惑や水質汚濁の原因となった。各省庁は、従来の法律を活用して浄化槽の機能確保に対応していたが、下水道には下水道法があり国において十分な予算措置がなされていた。浄化槽については、法体系も未整備で国の予算も皆無に近い状況であった。このような状況を背景に対して関係者の精力的な努力により、立法化が検討された。
この結果、浄化槽法が議員立法により昭和58年に成立・公布され、昭和60年より全面施行となった。この浄化槽法により、浄化槽の構造、設置、保守点検および清掃について規制が強化され、浄化槽設置者の責任と義務が明確化され、浄化槽の整備士や管理士の身分資格が確立し、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図る一元的な法制度が築かれた。
一方で、水洗便所排水のみを対象とする単独浄化槽だけでなく、便所排水に加えて生活雑排水も対象とする合併浄化槽もあって、昭和44年建築基準施行令の改正により合併浄化槽の構造基準が示された。しかし、単独浄化槽の普及と生活雑排水の垂れ流しによる河川・湖沼・内湾などの水質悪化が、以前より指摘され社会的問題ととなっていた。この状況を受けて、平成12年に浄化槽が改正され、平成13年に単独浄化槽の新設の原則禁止と合併浄化槽の義務化とその整備・促進が図れることとなった。この取組により改正以前に設置された単独浄化槽の合併浄化槽への転換が助成事業などにより政策的に進められ、その成果が認められるものの、平成27年度末においても全体の半数以上の単独浄化槽が使用されている状況である(図4)。


図4 浄化槽の設置基数の推移

3.新設・廃止された浄化槽

平成27年度に新設された浄化槽(新設槽基数:119,526基)の規模別(人槽区分)基数(図5)を見ると、5~20人槽が94.0%(内;5~10人、91.7%)で、21~100人槽が5.3%(内;21~50人、4.5%)、101人以上槽が0.7%となっており、規模が大きくなるぼど設置基数は急激に減少している。この傾向は、平成27年度末における浄化槽の全設置数の傾向と同じであるが、一般家庭用5~10人槽の占める割合がさらに増加していることである。
平成27年度に廃止された浄化槽の事由(確認されたものの集計、図6)を見ると、単独・合併ともに集合処理施設(集合、公共下水道や集落排水施設など)への接続が、これらの合計で全廃止基数の76%を占めている。
合併浄化槽(合併)へ切り替えた単独浄化槽(単独)はその廃止基数の17%のみで、全廃止基数の11%に過ぎない。家屋等の廃止(廃屋)およびその他の事由によるものが12%で、単独から合併への切り替え基数よりも少し大きい状況となっている。平成13年に単独浄化槽の新設が禁止されてから、既設の単独浄化槽の合併浄化槽への切り替えに対して国および自治体による様々な取組が実施されているが、この目標の達成には今後さらに年数が要することがうかがえる。浄化槽の今後の課題についは、別のページで詳しく述べる。

図5 新設された浄化槽の規模別(人槽区分)基数
(平成27年度、新設槽総基数:119,526基)

図6 廃止された浄化槽の事由別基数
(確認されたもの、平成27年度)

4.構造基準と処理方式

社会的要求と汚水処理技術の進歩に対応して、浄化槽の構造基準(以下、基準と略称)の改正が行われてきた。基準の改正は、単に便所の水洗化を目的とした単独浄化槽から、水質汚濁防止および生活環境の保全を目的とした浄化槽へと移行し、現在は全ての人槽区分の浄化槽に基準が示されている。対象となる人槽規模も、各改正ごとに次第に引き下げられ、平成3年の改正から新設浄化槽の放流水BODは全て20mg/L以下となり、公共下水道の終末処理施設と同等の性能となった。また、富栄養化防止の観点から窒素・リンの除去性能を有する浄化槽も定められている。


構造基準の改正

①基準制定前、②昭和44年(旧構造基準)、③昭和55年(新構造基準)、④昭和63年(50人以下浄化槽の基準追加:BOD除去率90%以上、放流水のBOD濃度20mg/L以下)、⑤平成3年(51人以上500人以下浄化槽の基準追加:BOD除去率90%以上、放流水のBOD濃度20mg/L以下)、⑥平成7年(高度処理型浄化槽の基準追加:放流水BOD濃度10mg/L以下の他、COD、T-NおよびT-P除去の追加)、⑦平成12年(浄化槽の性能規格化、みなし浄化槽の構造基準を削除)、⑧平成18年(告示第2と第3の削除)
○放流水BOD20mg/L以下の規制:②101人以上→③51人以上→④5人以上
浄化槽の構造基準に係る視点から、平成27年度末現在の浄化槽の処理方法別の設置基数の状況を表3表4および図7に示す。新構造基準に対応する設置基数は全体の86%であり、旧構造基準に対応するものは14%となっている(図7)。
現存する浄化槽には、上記した基準制定前①と各基準②~⑧の計8つのタイプがあり、これに加えて処理方式も様々な種類があり(表3表4)、保守点検・清掃・検査などの維持管理作業は極めて複雑な内容となっている。
各処理方式の具体的な構造(処理工程)の詳細は別途記載するので、ここでは省略する。
表3 旧構造基準による処理方法別の
設置基数(平成27年度末現在)

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図7 新旧構造基準別の浄化槽
表4 新構造基準による処理方法別の
設置基数(平成27年度末現在)

引用データ

本ページの掲載データは全て、環境省から公表されたものを引用した。


掲載日:2017/08/05
更新日:2017/08/10

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