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生活排水の概況

我が国では、歴史的にし尿を農業肥料として利用し、生活雑排水(台所、風呂、洗濯、清掃などからの排水)とは分けて扱う社会システムが成立していた。
明治時代になって、人々が都市に集まるようになると、生活汚水が原因で伝染病が発生するようになった。明治17年(1884年)に日本ではじめて下水道が東京で作られた。その後、幾つかの都市で下水道が作られたが、全国的に普及することはなかった。
第二次世界大戦後、産業が急速に進展し都市への人口集中が進み、公衆衛生を目的として下水道が整備されることとなった。ところが、生活水準の向上と工業の発展に伴い、河川・湖沼・閉鎖海域の水質汚濁が顕著となり、昭和45年には下水道法の改正により、公衆衛生のみでなく、水域の水質保全の役割を担うようになった。
一方で、戦後の化学肥料の普及によりし尿の農業利用が激減したことを背景に、下水道が整備されない都市周辺や農業地域については、我が国特有のし尿処理技術が開発・進展した。これは、汲み取りし尿の処理施設の整備と便所の水洗化を目的とする単独浄化槽の普及であった。
し尿と生活雑排水を分ける社会文化は雑排水の放流が河川や湖沼の水質汚濁の主な原因(図1図2)となることから、平成12年には浄化槽法が改正され、し尿のみを対象とする単独浄化槽の新設が禁止されることとなり、公共下水道や農業集落排水施設などの未整備地域における生活排水(し尿および雑排水)を処理する合併浄化槽を整備・普及することとなった。この改正により、単独浄化槽は「みなし浄化槽」とされ、「浄化槽」とは合併浄化槽を示すこととなった。
以上述べたように、我が国では生活排水の処理システム(表1)として公共下水道、農業集落排水施設等、浄化槽などの整備が進められ、公共用水域の水質も改善されつつある。しかし、未だに1,300万人(平成27年度末現在)の生活雑排水が未処理のまま放流されている。汚水(生活排水)処理人口普及状況(図3)は、大都市と中小市町村で大きな格差があり、特に人口5万人未満の市町村の汚水処理人口普及率は77.5%にとどまっている。
wastewater_BOD-load
図2 発生源別排水のBOD負荷の割合

表1 生活排水の処理システムの状況
(集落排水:農業集落排水施設等、下水道:公共下水道、水洗化人口:環境省
domestic_wastewater_treatment_system

domestic-wastewater-treatment_vs_ population
図3 市町村規模と汚水(生活排水)処理人口普及率(H27年度末、環境省発表
(浄化:浄化槽、農集:農業集落排水施設等、下水:公共下水道、未処:未処理)


掲載日:2017/08/03
更新日:2017/08/04

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