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環境技術 2019


環境技術学会・月刊誌「環境技術」 2019年 特集概要
      目 次 総目次-分野別-
1号 2019年 環境行政展望
2号 汚染処理技術と再資源化技術
3号 (未刊)
4号 (未刊)
5号 (未刊)
6号 (未刊)
7号 (未刊)



1号    2019年 環境行政展望

<年頭所感> 環境大臣 原田 義昭
(概要)昨年の夏、我が国は、平成三十年七月豪雨に象徴される激甚な自然災害と記録的な酷暑に見舞われました。こうした気候変動の影響拡大への懸念に加え、今、我が国は、様々な経済・社会的課題に直面しています。一方、世界では、脱炭素化の進展やグリーン・ファイナンスの拡大など、従来の考え方を大きく転換すべき潮流が生じています。
これからの環境政策は、世の中を脱炭素型かつ持続可能な形へと転換させていくことで、様々なイノベーションを引き起こし、それによって環境保全と経済・社会的課題との同時解決を図りながら、新たなマーケットを創出していくことが重要です。その実践として、地域においては、各地域の自立分散と相互連携で循環と共生を実現する「地域循環共生圏」を創造し、将来にわたって質の高い生活をもたらす「新たな成長」につなげていくべく、各分野での政策を展開していきます。

<年頭ずいろん> 環境技術学会副会長/日立造船(株) 三野 禎男
-これからの環境技術学会―発展に向けて-
(概要)本学会は1972年に活動を開始し、地域環境および地球環境に関わる諸問題に関わる諸問題の解決に資する研究と技術の発展を理念として活動してまいりました。その活動は、公衆衛生、廃棄物の衛生処理に始まり、時代の流れと共に、2次公害防止、水銀やダイオキシン類問題、省エネやエネルギー回収、地球温暖化防止、放射能など広範な領域におよんでいます。最近では、マイクロプラスチック問題や廃棄物処理施設の防災機能強化など新たな課題も加わってきております。
一方で、本学会員総数は年々減少しました。2017年より、規約改正、会費の見直し、機関誌「環境技術」の発効回数の削減、年次大会の開催時期の見直しを行うなど、学会の継続性を確保しつつ、会員の皆様にとって有意義な、そして望まれる学会となるべく改革に取り組んでいるところです。その効果もあり、2018年度は、学生会員の増加も含め会員総数は幾分増加しています。学会の発展に向け、今後ともよろしくお願い申し上げます。

<地球環境問題> 環境省地球環境局 秦 康之・菊地 崇史
-気候変動対策をめぐる我が国の新たな挑戦-
 近年、気候変動の影響が深刻化しています。こうした現状に対し、CO2をはじめとする温室効果ガスを削減する「緩和」と気候変動の影響を回避・軽減する「適応」の両方を気候変動対策の車の両輪として推進することが必要不可欠です。緩和策については、パリ協定で定められている2℃目標を確実に達成することを目指し、その上で、1.5℃まで抑える努力を継続していくことが重要です。
 我が国としては、地球温暖化対策計画に基づく取組を着実に実施し、まずは温室効果ガスの2030年度26%削減目標の達成を目指しています。加えて、現在、2050年80%削減を視野に、世界の脱炭素化を牽引し、環境と成長の好循環を実現する長期戦略の策定に向け、多様なステークホルダーが参画した形で議論を行っています。
適応策については、気候変動適応法が昨年12月1日から施行されました。それに先立って同法に基づく気候変動適応計画が閣議決定され、あらゆる関連施策に適応の考え方を組み込むことで、多様な分野での気候変動適応を推進していく旨を明記しております。
 今後も、環境省は、社会の多様な主体を内包し、将来にわたって質の高い生活をもたらす「新たな成長」を実現する環境政策を実行してまいります。

<大気環境行政> 環境省水・大気環境局 高澤 哲也
-中央大気審議会大気・騒音部会の最近の動きなど-
 我が国の大気環境の現状に関して2016年度の環境基準の達成状況をみると、二酸化窒素(NO2)については一般環境大気測定局(以下「一般局」)で100%、自動車排出ガス測定局(以下「自排局」)で99.7%、浮遊粒子状物質(SPM)については一般局、自排局とも100%となっており、高い水準となっている。これは、大気汚染防止法や公害防止条例等に基づくばい煙排出規制、事業者に対する立入検査や報告聴取の実施、大気環境や排出ガスの正確かつ継続的なモニタリング、「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM 法)」による施策の推進などの固定発生源や移動発生源の対策に官民一体となって取り組んできた成果といえる。
 一方、大気環境の保全においては、今なお、継続的な課題や新たな課題への対応が求められている。それらは局所的な汚染から地球規模の汚染に至るまで多岐にわたっており、石綿飛散防止微小粒子状物質(PM2.5)越境大気汚染有害大気汚染物質水銀大気排出など幅広く、それぞれ様々な要因により発生し、その対策も多様となっている。環境省としては、各課題に対して全力で取り組んでいく所存である。

<水環境行政> 環境省水・大気環境局 熊谷 和哉
-水質環境基準の経緯と底層溶存酸素量等の位置づけ-
 水質環境基準の経緯 人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)は、1970年に7項目(Cd、シアン、Pb、Cr(Ⅵ)、As、Hg、アルキル水銀)が指定され、、1975年にPCBが追加、1993年に有機塩素化合物を中心に15項目が追加された。1999年には窒素、ふっ粗、ホウ素、2009年には公共用水1項目・地下水3項目が追加された。生活環境の保全に関する環境基準(生活環境項目)は、1970年に河川・湖沼・海域の水域に類型を定めてそれぞれの基準値が設定された。河川5項目(pH、BOD、SS、DO、大腸菌群)6類型、湖沼5項目(pH、COD、SS、DO、大腸菌群)4類型、海域4項目(pH、COD、DO、大腸菌群)3類型である。1971年海域にノルマルヘキサン抽出物、1982年湖沼・1993年海域に窒素・りんの基準が設定された。さらに、健康項目に限定されいた項目が生活環境項目に広げられ、2003年亜鉛などの3項目が追加された。
 底層DOの環境基準 湖沼・海域に対して2016年に底層DOが追加された。河川では絶えず上下混合が起こっているのに対して、ある程度以上の水深のある湖沼・海域では表層と底層の状況が異なっている。これらの水域では、有機汚濁指標・栄養塩類に加え底層DOも採用し、あるべき水環境の姿を描くことが、今後の水環境行政の課題となっている。
 今後の水環境問題は、かっての公害問題のような障害除去、排水規制や生活排水対策だけではなく、地域ごとに求める水環境の目標を定め、よりよい環境を目指す状況に移りつつあると思われる。

<水道行政> 国土交通省水管理・国土保全局 山田 哲也
-下水道事業を取り巻く環境変化に対応していくために-
 下水道は、言うまでもなく国民の安全・安心な暮らしと健全な社会経済活動に不可欠なインフラであり、その整備・普及に国を挙げて取り組んでまいりました。現在、浄化槽等を含む汚水処理人口普及率は9割に達しましたが、残る未普及対策、ハード・ソフト両面からの都市浸水対策、合流改善や高度処理などの水質改善対策、強靱な下水道システムに向けた地震対策、省エネ・創エネ対策など、今後も下水道ストックの効果的・効率的な形成を進めることが必要とされています。さらに、これまで整備してきたストックの技術的・経営的マネジメントやリノベーションは、今後の人口減少等を考えると喫緊の課題となっており、将来にわたっていかに下水道の機能を維持していくか、今まさに智恵を絞り、努力していくことが求められている状況です。
 国土交通省では、民間の有するノウハウや資金の積極的な活用、地域の汚水処理事業の広域化・共同化、下水汚泥等の資源の徹底的な活用等を推進し、下水道事業の一層の効率化を促進しているところです。また、昨年相次いで発生した災害を踏まえ、政府全体で「重要インフラの緊急点検」を実施しました。下水道については、施設整備による一定の浸水対策効果が発揮できたものの、電力供給や施設の耐水化等の問題が明らかになったことから、この緊急点検の結果を踏まえ、今後対策を講ずることとしています。

<一般廃棄物行政> 環境省環境再生・資源循環局 名倉 良雄
-適正処理のさらなる推進にむけて-
 一般廃棄物の適正処理は、地域の生活環境の保全や公衆衛生の確保のために必要不可欠である。また、地球温暖化対策や頻発化・激甚化する自然災害による災害廃棄物対策など、一般廃棄物処理に関して対処すべき様々な課題が存在する。このため、一般廃棄物の適正な処理を推進するとともに、循環型社会と低炭素社会の統合的実現に向けて取り組んでいく必要がある。
 一般廃棄物の適正処理の推進、循環型社会推進交付金、地球温暖化対策、廃棄物処理施設整備計画、災害廃棄物対策などの環境省の一般廃棄物行政について概説している。

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2号 環境技術特集―汚染処理技術と再資源化技術

編集:2019-02-00 神戸学院大学・古武家 善成
 環境技術の最前線を紹介する「環境技術特集」は2016年2月号以来2回目である。この特集の目的は、環境技術の中で、現在、企業・大学・公的研究機関等が開発し、実用化されている「一押し」の技術に焦点を当てて紹介することにある。本誌編集委員からの推薦を受けた民間企業から提出された以下 6編を掲載することになった。技術の内訳はいずれも公害防止・汚染処理技術に分類されるが、汚染処理と金属再資源化を組み合わせた技術や微生物処理技術を含んでいる。

2019-02-01 空気揚砂攪拌式沈砂洗浄装置による沈砂の洗浄効果
      (株)サンエイ・東 利光
 国内での小規模の分流式下水処理場やポンプ場では、管渠延長が短く、他の汚物が沈砂と混ざり合い、分離しにくい状態で沈砂池に溜まることが多い。この沈砂はバキューム車や揚砂ポンプにて排除されている。揚砂ポンプ利用においては、サイクロン等の簡易な分離装置により沈砂の固液分離を行っている。しかし、沈砂に付着している高臭気の汚物はほとんど除去されないので、市街地に位置する処理場やポンプ場の沈砂については、その処理・運搬時の悪臭等の対策に苦慮している。
 本装置は、この問題を改善するために開発されたもので、次のような仕組みとなっている。取り出された沈砂混合液を揚砂管に導入し、エアーリフトを利用した洗浄ボール・空気・水の攪拌によって、沈砂の洗浄を行う。揚砂管は二重構造で、その内部の乱流により、沈砂に付着した汚物が高効率で剥離される。沈砂中に混在していた比重の小さい浮遊物質(懸濁液)は、装置上部より排出される。比重の大きい砂は洗浄後に装置下部に沈降し、排出弁を介してコンテナに排出され、さらに水洗される。分離液、懸濁液および砂洗浄液は凝集沈殿処理されて、処理液を放流する。洗浄沈砂および凝集沈殿物の脱水ケーキは、中間貯留施設へ移送・保管される。
 本特集では、本装置の構成・性能とその実証例を報告している。本装置は、沈砂中の臭気成分の除去だけでなく、137Cs汚染土壌の減容化に対しても、その効果が実証されている。

2019-02-02 高速多層繊維ろ過方式による濁水処理装置
       建設リサイクル研究会・森岡錦也
 建設工事排水に対して、工事内容や排水先の放流基準等に応じて、簡易法から高度法に至るまで様々な処理法が適用されてきた。最も簡易な方法は、小型ノッチタンクで濁質分や狭雑物を自然沈降分離し、上澄み水を公共水域等へ放流する低コスト法が用いられてきた。しかし、処理状況の定量的な管理(主にSS、pH)の容易さ、近年の環境に対する意識の高まりや技術提案型の入札において求められる周辺環境への配慮といった観点から、汎用の濁水処理装置を利用した排水処理を行うケースが少なくない。
 建設工事排水の性状や発生量は、同じ現場でも時間とともに変化し、また似たような工事計画でも現場によって異なり、一定しないことが多い。これは工事の内容・適用される施工方法が工程の進捗とともに変化することに加え、現場の施工状況が自然条件変化の影響を受けるためである。しかし、原排水の条件変動が生じると、汎用の濁水処理装置のみでは、その処理水質が要求される放流基準を満足しない事態が起こる。
 今回、紹介している多層繊維ろ床は、上部より大中小の空隙率を有する3層構造により高速ろ過を可能とし、軽量でろ材の交換も簡易である。このろ過装置を、汎用の濁水処理装置と組み合わせることで、原濁水の性状が不安定な状況においても、その優れたろ過機能により処理水質の安定化を維持できる。従来型の(凝集)沈殿処理液(SS 100mg以下が望ましい)を、多層繊維ろ過槽を導入した本装置により、SS 5mg/L以下の処理液が得られることを実証している。また、ダイオキシン類等の汚染水に対しても、その除去効果があることが実証されている。

2019-02-03 都市ごみ焼却処理のLCC低減に貢献する排ガス処理技術
       (株)タクマ・倉田昌明、美濃谷広、工藤隆行
 都市ごみ焼却事業においては,処理施設の建設だけでなく、運営も含めた発注が主流になりつつある。発注が建設のみでも、建設コストと運営面も含めた総合評価方式を採用するケースが多い。また、施設建設から事業運営までの全期間にわたるLCC(ライフサイクルコスト)を低減することが強く求められている。
 同社では都市ごみ焼却処理においてLCC を低減する各種技術を開発・実用化している。本号では、排ガス処理技術に関わる最新技術として、(1) 尿素高反応化と(2) 脱硝触媒のオンサイト再生を取り上げ、概要・特徴と設置状況を紹介している。
 (1) 都市ゴミ焼却炉から発生するNOxを除去する代表的な技術として、炉内に直接還元剤を噴霧する無触媒脱硝法が挙げられる。還元剤として、安価・安全の面から尿素が用いられてきたが、近年、厳しい基準を満たすため高値で取扱いに注意を要するNH3を用いるケースが増えている。同社では、尿素分解触媒を用い(NH2)2COをNH3へ分解し、このNH3を還元剤として利用する装置を開発し、初号実施設の2021年・竣工予定が決定している。
 (2) 脱硝触媒は、除じん後の排ガスに適用され、NOxとNH3を反応させ、N2と水に変換する。一方、NH3と排ガス中のSO2が反応して生じる硫安等が触媒へ付着し、触媒機能が低下する。同社が開発した触媒再生装置は、加熱空気を現場施設内の触媒層へ循環して、触媒に付着した硫安等をSO2に分解・脱着・除去するシステムである。本装置は、1基で複数炉へ順次設置して、触媒の再生が可能である。触媒を外部へ搬出・再生する従来法では、1~2ヶ月以上の休炉が必要であったが、本法では1週間程度で再生が可能となり、さらに、再生触媒の性能は新品よりも僅かに向上していることが確認されている。

2019-02-04 還元溶融プロセスを用いた焼却灰の再資源化
       中部リサイクル(株)・柴山 輝
 各自治体の焼却炉から発生する焼却灰は、埋立処理による最終処分のほか、灰溶融やセメント原料化や焙焼処理により一部再資源化されている。
 同社では、焼却灰を受け入れて還元溶融し、100%の再資源化を行っている。還元溶融設備には、還元式電気抵抗炉に分類されるサブマージドアーク炉(強還元型溶融炉)を使用している。炉体は円筒状であり、3本の黒鉛電極が炉底面に対して垂直に位置し、正三角形に配置している。この電極に電流を流し、炉内の溶融対象物と電極が接している面で抵抗熱を発生させ溶融する。その特徴は炉内を強還元雰囲気かつ高温(溶融物の温度で1,350℃)で灰溶融処理を行うことにある。本号では還元溶融技術による都市ごみ焼却灰等を再資源化するプロセスとそれによって得られる再生製品について紹介している。
 市町村や民間からの焼却灰は、磁選による鉄分除去・乾燥を経て、調整されたSiO2とCaOを含む強還元型溶融炉に導入される。塩分濃度が高い焼却杯は、脱塩・造粒・乾燥の各工程を経て溶融炉に導入される。
 高沸点成分は炉底部へ濃縮され溶融メタル(1千トン/年;Cu:130kg/t、Ag:900g/t、Au:70g/tなど)として回収され、製錬会社へ販売されている。低沸点成分(Zn、Pbなど)は蒸発するので、バグフィルターで捕捉・脱塩・ケーキ化され、亜鉛(40~60%)・鉛(7~12%)の原料(600t/年)として、製錬会社へ売却されている。スラグ(1.5万t/年)は、JIS規格「硬石」の圧縮強さを満たし、土木資材として活用されている。

2019-02-05 ベトナムにおける廃棄物処理の課題と高温・好気発酵分解技術の適応
       日本ミクニヤ(株)・徳岡誠人、田中優司、安部裕巳
 ベトナム社会主義共和国(以下、ベトナム)は1986年の第6回ベトナム共産党党大会でドイモイ政策が提起され、それ以降、経済面や社会思想面において新たな方向へ転換することとなった。また、1992年には日本の同国援助も再開し、その後ODA 投資額も増え、日本はベトナムにとって最大の援助国となった。これらの支援の効果もあり、ベトナム経済は成長率6%後半台を維持し、ASEAN 域内でもトップクラスの成長率を達成している。これらの急激な経済発展は、一部の都市への局所的な人口集中を起こし、上下水道やゴミ焼却場、法整備が追い付いていない状況にある。例えば、家庭から排出される資源ゴミ・生ゴミは混在し、道路脇へ投棄されている状況も見られる。下水汚泥は野積の状態で放置され、雨季には近隣河川へ流出している事例も見られる。ベトナム政府は、「環境保護法(2014年)」、「廃棄物管理に関する規制(2015年)」の公布など、法整備とその適正な実施を推進している。
 同社では、有機性廃棄物を高温・好気で発酵分解し、24時間で90%以上減容する技術を開発し、日本国内の下水・農集排水の汚泥や生ごみ等の処理施設への納入実績を有している。本号では、本技術をベトナムへ導入する目的で、メコンデルタ地帯の最大都市カントー市で、実証実験を実施した結果を紹介している。実験課題は、(1) 地場の常在菌および(2) 担体である現地木材の活用が可能であるかの検証である。現地での実験結果から、本技術のベトナムへの適応が可能であることを確認している。日本で利用している杉チップの替わりにユーカリチップが適していた。減容化率は、生ごみで83%、下水汚泥91%であった。国内と比較して、生ごみの値が低いのは、完全な分別が難しく、ビニール等の混入によるものであった。
 現在のベトナムでは、適正な廃棄物処理の認識が低いので、社会的課題を行政と連携して解決する必要があり、制度設計を行いながら技術普及を目指している。

2019-02-05 工場排水を対象とした1,4-ジオキサンの生物処理技術
       大成建設(株)・山本哲史、日下潤、渡邉亮哉、斎藤祐二
 1,4-ジオキサン(DX)は、環状エーテル構造の物質であり、化学工業を中心に反応溶媒等として使用されている。DX は、水と任意に混和し、常温常圧下における揮発性に乏しい。また、加水分解、光分解や微生物分解を受けにくく、水中における安定性が極めて高い。ヒトに対して急性・慢性毒性を有する上に、発がん性を示す可能性があるグループ2B に分類されている。産業界では、その使用量を削減する努力が進められている。しかし、界面活性剤やポリエチレンテレフタレート(PET)などの製造過程では、DXの非意図的な生成が認められ、環境汚染が生じる可能性がある。
 DX による環境汚染のリスクに対して、我が国では、水道水質基準や環境基準の項目にDX を追加し(基準値:0.05㎎/L)、2012年には主要な汚染源である工場排水に対して一律排水基準(基準値:0.5㎎/L)が定められた。しかし、従来の排水処理技術では、経済性や大量排水への適用性等の課題があり、その適用が困難であることから、特定の業種においては暫定基準が設けられた。一部の業種においては、すでに一律排水基準への移行が完了しているが、エチレングリコール及びエチレンオキサイド製造業においては、現在も暫定基準が適用されている。このため、DX 含有排水を高効率かつ低コストにて処理可能な技術を早急に確立する必要がある。
 著者らは低コストな排水の生物処理に着目し、DX 分解菌を用いた排水処理技術の開発を行っている。本号では、新たに発見したPseudonocardia sp. N23(N23株)の特長と、これを用いた排水処理システムについて紹介している。
 N23株は、このまでのDX資化菌の中でも、トップクラスの分解速度を示し、分解酵素は構成型で、さらに広い至適条件(pH 5-7、温度 15-35℃)を有する。pH 5では、一般雑菌の増殖を抑制しながら、安定なDX分解が行われ、一律排水基準値(0.5mg/L)を達成できることが検証されている。本技術は、促進酸化法と比較して、初期投資・維持管理費で各50%、LCCO2で90%、それぞれ削減できる。本技術の対象として、工場排水のみでなく、土壌・地下水・最終処分場浸出水中のDX対策への適用も期待できる。

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掲載日:2019年01月25日
更新日:2019年05月09日

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