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現場での簡易水質検査・測定

目次



本ページでは、携帯用計測器や簡易水質検査キットなどを用いて水質検査・分析を行う方法について、①利用目的(適用分野を含む)、②測定・検査法の原理および③測定・検査上の留意事項等について、概略を解説する。
大学・高専、公設試験研究機関、企業の試験研究所、民間分析センターなどでは、高額な先端設備を含む様々な分析・検査機器を整備している。しかしながら、初等・中等の学校での環境教育の観察・実習、水を扱う多くの小中企業などでは、資金的にも、設置施設的にも、高額な分析・検査機器の整備が困難である。
大学等の試験研究においても、調査船・車に搭載した移動型検査・測定設備を利用できない現場調査においては、簡易水質検査は重要である。これは、分析・検査試料の輸送・保管中での変質が伴う検査項目が少なくないからである。また、最近では、定点・移動観測機器と通信技術の応用により、常時・定期的な水質検査システムも広く活用されている。
とろで、生活排水をオンサイト処理する浄化槽をはじめ、農水産や環境関連の分野では、水域の環境調査や活魚水槽・用水・排水施設などでの適正な維持管理と異常時における迅速対応において、現場での簡易水質検査は欠かせない。個人的な趣味での魚の飼育や環境観察にいても簡易水質検査は広く活用されている.
ここでは、簡易水質検査の主な項目についてその概要をを説明する。なお、原理や装置についての詳しい説明が必要な項目については、本ページの子ページにて別途説明する。

1.気温・水温

水温は、生物の生命維持機能や酸素の溶解量に影響する。魚介類の飼育・備蓄水槽や浄化設備の微生物機能にとって重要な因子である。

(1)測定器具

ガラス製温度計(着色アルコール、水銀)および電子温度計がある。水銀は正確であるが、破損すると水銀の処理が必要となるので、アルコールまたは電子温度計を用いる。気温用は-20~50℃、水温は0~50℃の範囲のものが使いやすい。

(2)測定方法

(a) 気温:水分が付着していない温度計を用い、直射日光や周囲の輻射熱を避け、風通しのよい場所で測定する。
(b) 水温:現場で直接水に浸した状態で測定するか、離れた位置にあるときはバケツ等の容器で検水を採取して直ちに測定する。ひもでぶら下げて水に浸し、引き上げて温度を読み取る方法は誤差が大きくなるので好ましくない。

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2.外観

外観とは、外部から見たままの状態をいい、水の汚濁の程度や汚濁物質を推測できる場合が少なくない。

(1)器具

無色・透明の300~500mLのビーカー

(2)測定方法

採取直後の検水をビーカーにとり、直ちに、白紙または黒紙を下部および背後に置き、上部および側面から透視して、次の事項について観察・記録する。
検水全体の色の種類と程度
浮上物質、懸濁物質、沈殿物質の色の種類と量の程度
検水の泡立ちや臭気等の状況
上澄水(浮上物質がある場合には、その下部水)の種類と程度
懸濁物質等の浮上・沈降状況や検水の色などの経時変化

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3.臭気

臭気は、現場に到着後、直ちに測定する(時間が経過すると臭覚が鈍くなる)。臭気の種類(腐敗臭、カビ臭、下水臭、硫化水素臭など)とその程度を記録する。

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4.透視度

透視度は、水の透明の程度を示すもので、検水が透明なほど透視度が高くなる。一般的に、透視度が高いほど、水質が良好となる。環境水ではアオコや赤潮の発生状況、汚水・排水ではBODやCODとの間に相関性がある。透視度の値だけで汚濁の程度を判定することは困難であるが、湖沼・海域、水槽、浄化施設など、同様な環境での定期的な観測を行っていくと、外観や透視度の値から、汚濁の原因や他の水質項目のおおよその値が推定できるようになる。

(1)器具

透視度計は下図に示すように底部から目盛りをつけたカラスまたはプラスチック製の円筒で底部に二重十字の標識(取り出し可能で、常に清浄にしておく)を置いてある。下部に流出用の突起管があり、これにピンチコックを付けたゴム管を接続する。市販品には、有効円筒高が30、50、100cmなどの種類がある。検水の状況に合わせて、適切な円筒高のものを選ぶ。一般的には、湖沼・魚水槽では100cm、浄化槽では30cmが用いられる。

(2)測定方法

検水を透視度計に満たした後、速やかに、上部から底部を見ながら検水をピンチコックを緩め流出する。底部標識の二重十字線がはじめて明らかに識別できた時、ピンチコックを元に戻し、流出を停止し、水面の目盛りを読み、これを透視度とする。

(3)留意点

直射日光を避けて測定する。
測定者の視力に影響を受ける。10cm以下では±1cm程度であるが、50cm以上では±5cmになることもある。
透視度計に検水を注入するとき、固形物質を微細化したり、気泡を混入すると、測定値が低くなるので、注意する。
懸濁物質があると、時間経過とともに沈降するので、速やかに測定する。

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5.水素イオン濃度(pH)

pHとは、水素イオン濃度の逆数の常用対数である。検水は、酸性(pH < 7)、中性(pH = 7)、アルカリ性(pH > 7)となる。水温の高い季節の晴天下での藻類の光合成が活発な湖沼の表面水では、pH10を超えるアルカリ性となる。生活排水は一般的に中性から弱アルカリ性を示すが、これを酸素供給下で微生物により分解処理すると、pHは低下し酸性となる。鉄分を多く含む中性の地下水が地表に出ると、大気中酸素より鉄が酸化されて赤水となり強い酸性の水となる。自然界や生活・産業の水循環の過程で、大気・地質や生物との相互作用により、そのpHは様々な挙動を示す。また、水浄化プロセスにおいて、pHの制御は極めて重要な因子となる。

(1)比色法によるpH測定

(2)ガラス電極によるpH測定

電気化学的pH計測法には、半導体センサを用いた超小型のものも開発・実用化されているが、一般的には、ガラス電極法が用いられる。
この方法は、薄いガラス膜の両側に標準液(pHはほぼ中性で一定値)と検水(pHは未知)をおき、水素イオン濃度差によるガラス膜の両面に発生する電位差(±mV)を測定して(検水のpHが標準液と同一であれば、発生する電位差はゼロとなる)、検水のpH値へ変換する。ガラス膜の両面に発生する電位差は、参照電極を用いて測定する。現場での水質検査には、ガラス電極と参照電極が一体となった複合電極を用い、この複合電極を測定器本体にリード線で接続し、検水のpH値はデジタルで表示するpH計が多く用いられている。また、ガラス膜の発生電位差は温度依存性があるので、温度補償付きのものが望ましい。

(a) pH計の校正

検水のpHを正しく測定するために、pH標準液を用いてpH計の校正を行う。校正は2種類の標準液(中性と酸性)を用いて行う。標準液のpHは温度により異なるので、必ず水温を同時に測定し、換算表に示す値に設定する。温度補償用のpH計では、電極に一体化された温度センサにより自動的に補正される。
①<ゼロ補正> pH7の校正液(リン酸塩溶液)に電極を浸す。表示値が安定したら、その補正値を認識させる(デジタル型pH計の多くは、自動的に補正される)。蒸留水でpH電極を洗浄して、次の校正操作を行う。
②<感度補正> pHの校正液(フタル酸標準液)またはpH9の校正液(ホウ酸塩標準液)に浸す。表示値が安定したら、その補正値を認識させる(①と同様に自動的に補正される)。
 再度①と②の操作を繰り返し、pHの表示値が校正液の値と一致すれば、校正は終了である。

(b) pH測定

測定箇所に電極を浸すか、検水を採取して別の容器に移しそれに電極を浸し、pH表示が安定したときの値を読み取る。ガラス電極での測定は、表示値が安定するまで、時間を要することに留意する。

(c) 注意点

ガラス膜は極めて薄く、わずかな衝撃でも破損するので、保護キャップを付けて使用する。また、測定・保管中も丁寧に扱い、他の物体に電極の先端が当たらないよう注意する。
校正を定期的に行う。
測定後は、蒸留水で洗浄し、ガラス電極が乾燥しないよう水を入れたキャップをかぶせておく。
電極が汚れたら、希塩酸、アルコール等で洗浄する。
電極内部の塩化化カリウム溶液が減少したら、補充する。
校正液は、保存中に変化するので、適宜、新しいものを用いる。

<解説>
別ページに記載
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6.溶存酸素(DO)

溶存酸素とは、水中に溶解している分子状の酸素をいい、酸素の溶解量は、酸素分圧、水温、塩分濃度などに影響される。
環境水中の溶存酸素(DO)は、生物や汚濁物質がない場合には飽和濃度に近いが、汚濁物質濃度が高い水域では酸素が消費され、溶存濃度が低下する。その底質では、無酸素や嫌気性となり、メタンガスや硫化水素が発生し、臭気を発生するようになる。
水域や水槽のDO測定は、魚介類の生息環境の監視や管理において不可欠となる。汚水処理施設においては、好気性・無酸素性・嫌気性の微生物を利用しているが、適正な運転管理上、DOの制御は極めて重要な因子となる。
溶存酸素の測定には、滴定法(ウインクラーアジ化ナトリウム変法)と隔膜電極法があるが、現場での迅速な測定が求められる場合には、電極法が利用される。滴定法では、現場での酸素固定操作により冷蔵保存が可能となる。ここでは、電極法について説明する。
隔膜電極法には、ポーラログラフ式とガルバニ電池式がある。ポーラログラフ式では電極に対し加電圧するための外部電源が必要であるが、ガルバニ電池式では測定系そのものが電池を形成するので加電圧は不要でである。いずれも、DO計では、検水に浸した測定電極で酸素が還元され、酸素濃度に比例した電流を検知して、酸素濃度に変換して表示する。酸化還元物質が共存すると測定が妨害されるので、水と接触する電極先端部に酸素分子が選択的に透過できる隔膜を貼り付けてある。

(1)器具・試薬

DO計:本体とそれにリード線で接続する電極から構成される。
校正用の器具・試薬:容器に蒸留水を入れ、亜硫酸ナトリム(5~10%)を溶解する。これは、溶存酸素を含まない溶液である。容器に蒸留水を入れ、エアポンプでばっ気して酸素を飽和させる。飽和酸素濃度は、水温、大気中の酸素分圧、塩分濃度(特に海水)によって異なるので、添付の飽和酸素濃度表の値を利用する。

(2)DO計の校正と測定方法

上記の無酸素液に電極を浸し、表示値をゼロに補正する(ゼロ校正)。次に、飽和溶液に浸し(攪拌のため、ばっ気しを継続)、当該酸素濃度を表示するように補正する(スパン校正)。
測定箇所に電極を浸し、DOの表示が安定してから読み取る。浄化装置では槽内の酸素濃度分布があるので、複数の部位での測定が必要となる。攪拌による旋回流が激しい場合には、小径の塩ビ管などの先端に電極を固定して、当該部位の測定を行う。湖沼等では、水深により酸素濃度が異なるので、測定には長いリード線(先端からの距離を目盛った印を付ける)の電極を用いるとよい。

(3)注意事項

隔膜を通過した酸素は還元されて消費されるので、隔膜表面近傍で酸素分子の拡散層が形成される。拡散層の厚さを小さくして、正確なDO測定を行うため、電極部分に水流が必要となる。水流のないまたは少ない場所の測定では、リード線を上下に動かしながら測定を行う。
電極先端部の隔膜は、細い突起物などで破損するので、測定場所の状況に留意して測定を行う。
DO測定においては、かならず、測定場所の水温を測定・記録する。
電極の内部液と隔膜を適宜交換する。

<解説>

酸素の還元反応O2 + 4H+ + 4e = 2H2O (E = 1.228V (pH = 0)~0.400V (pH = 14)) に対し、対極として、電位差の大きい電極 Pb2+/Pb (E = – 0.126V) や Al3+/Al (Eo = -1.676) を用いた場合には、効率のよいガルバニ電池が構成される。しかし、電位差の小さい電極Ag/AgCl (Eo = 0.199V)を用いた場合には、O2還元反応の駆動源として外部電源が必要となる。

<ガルバニ電池式DO計>

測定電極および電流計の基本構成を図1に示す。酸素(DO)の透過性に優れた隔膜(ポリエチレン膜、フッ素樹脂膜、最近はフッ素樹脂膜が用いられるケースが多い)で、電極と内部液を試料液から遮断する構造となっている。内部液には通常水酸化カリウム(KOH)溶液を用い、作用極には貴金属(Pt、AuあるいはAg:Agが用いられるケースが多い)が、対極には卑金属(Pb、Al:Pbが用いられるケースが多い)が用いられる。電池と同様の構造になっており、作用極と対極が電気的に接続されると酸素還元による電流が発生する。この電流はDO濃度に比例するため、電流を外部の電流計で測定し、DO濃度を表示する。
内部液にKOH溶液を用いるのはつぎの理由による。Pb電極が溶出したおよそpH7.5~13.0では、溶出したPb2+が水酸化物Pb(OH)2を形成、電極表面に沈積し電極が不活性化するので、pH13.0以上にして錯イオン[Pb(OH)4]2+として溶解させることにある。
作用極と対極が電気的に接続されていれば、酸素を材料として電流が自然に発生するため、内部液内の酸素が常に消費された状態となる。したがって、内部液内の酸素を完全に消費させるエージングの必要はない。ただし、電池の消耗(Pb電極の溶出)に伴い、内部液や電極の劣化により流れる電流も低下するので、他の原理と比較して寿命が短い傾向にある。
また、内部液に高アルカリ液(KOH)を、また対極に有害重金属(Pb)を用いており、高アルカリ液は人間の皮膚、目などを侵すため隔膜の交換あるいは電極の廃棄などに注意が必要である。

galvanic-do-sensor
図1 ガルバニ電池式DO計の模式図
R0:ゼロ校正用ポテンショメータ、Rs:スパン校正用可変抵抗、電気回路は別ページを参照
<ゼロ校正>DO = 0 mg のときにも、セル電流 I0 が流れるので、I0 + i = 0 となるようになるように、ポテンショメータ R0 で調整する。

<ポーラログラフ式DO計>

酸素(DO)の透過性に優れた隔膜(ポリエチレン膜、フッ素樹脂膜、最近はフッ素樹脂膜が用いられるケースが多い)で、電極と内部液を試料液から遮断する構造となっている点は隔膜ガルバニ電極法と同様である。
内部液にはKClまたはKOHが用いられ(取り扱いが容易な中性のKClが用いられるケースが多い)、作用極には貴金属(PtまたはAu)が、対極には銀・塩化銀(Ag/AgCl:KCl内部液の濃度に対応して一定の電位となる)が用いられる。
隔膜ポーラログラフ法では、隔膜を透過したDOを還元するのに必要な電圧を外部の定電圧装置を用いて作用極から対極間に印加します。このとき内部液にKCl(1mol/L前後の濃度)を、対極にAg/AgClを用いている場合は、対極の電位は多少の電流が流れても変化しない。すなわち、分極しないため作用極には常に一定の印加電圧が加わることなる。作用極に一定の印加電圧を加えることによって、DO濃度に比例した電流を流すことがでる。
電流を流し始めてからしか内部液の酸素は消費されないため、隔膜ガルバニ電極法と比較して寿命は⻑い傾向にあるが、酸素の還元に必要な電圧は外部の定電圧装置から供給しなければならないため、使用する前に充分にエージングをする必要がある。

polarographic-do-sensor
図1 ポーラログラフ式DO計の模式図
V+、V-:OPオペアンプ駆動用(±)直流電源、
R0:ゼロ校正用ポテンショメータ、Rx:スパン校正用可変抵抗、Ra:電解セル印加用ポテンショメーター(商品出荷時に調整済)

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7.酸化還元電位(ORP)

酸化還元電位(ORP)とは、溶液の酸化力や還元力の強さを示す指標である。汚濁物質が微量で溶存酸素が十分な水域のORPは正の値を示す。汚濁が進んだ水域の底質などでは、ORPが負の大きな値を示し、嫌気性微生物により、有機物はメンタン・炭酸ガス・アンモニアへ、鉄は2価イオン、硫黄は硫化水素などに変換され、固定化リンは溶出する。微生物による窒素・リン除去では、好気・無酸素・嫌気環境の制御が必要で、ORP計測は重要な事項である。
検水に白金電極と比較電極を浸漬し、両電極間に発生する電位を測定する。一般的には、白金・比較の電極が一体となった複合電極が利用される。

(1)器具

ORP計は、計測表示器本体とリード線のついた電極を接続して使用する。
ORP標準液は、フタル酸水素カリウムまたは中性リン酸塩にキンヒドロンを加えた水溶液である。

(2)ORP計の校正

ORP標準液に電極を浸し、その値が当該水温における標準液の値を示すことを確認する。測定電位が規定値より20mV以上異なっている場合には、金属電極表面をサンドペーパーなどで軽く研磨するか、希硝酸(1+1)中に数分間浸漬して電極の再生処理を行う。

(3)測定

検水に水洗した電極を浸して、表示値が安定したときの値を読み取る。

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8.窒素

魚介類のような酸素呼吸する水生動物とって、自ら排出するアンモニアは毒性物質であり、これを取り除く仕組みが必要となる。窒素化合物は、植物にとって栄養塩であり、水域に流入するとアオコや赤潮の原因となる。生し尿中には、炭酸アンモニウムなどとして、2,000~4,000mg/L程度含まれている。生活排水には尿素やタンパク質として含まれており、これが放流されると、微生物により分解されてアンモニアとなり、好気条件化では亜硝酸・硝酸イオンへ変換され、さらに無酸素条件化では窒素ガスへ変換される。
環境水、水生動物の飼育水槽や生活排水の処理工程において、窒素化合物の測定は不可欠なものである。室内での窒素化合物の測定には吸光光度法やクロマトグラフ法などが用いられるが、現場での簡易測定には試験紙法、パック法や比色管法が広く採用されている。

(1)アンモニア性窒素

(a) パック法

ポリエチレン製のチューブの中に試薬が1回分ずつ封入されており、この中に検水を吸い込み発色させる。一定時間(パック説明書に記載)経過後、検水の呈色と標準色を比較して濃度を測定する。

(b) 試験紙法

検水に試験紙を浸して発色させ、一定時間経過後、標準色と比較して濃度を測定する。

(2)亜硝酸性窒素

(a) 比色(GR)法

感度が高く低濃度でも発色するが、正確な濃度の測定が困難であり、亜硝酸性窒素の有無を確認する方法として利用する。水温が低いと、発色にに時間を要する。
検水中の亜硝酸イオンがアミノベンゼンスルホンアミド(ABSA)をジアゾ化し、これがナフチルエチレンジアミン(NEDA)と結合(カップリング)して生じる化合物による桃紅色の呈色により亜硝酸イオンの存在を確認する。
① 器具・試薬:無色透明の硬質ガラス製比色管、GR試薬
② 測定方法:検水5mLを比色管にとり、GR試薬を0.03gを加えて混合し、10分静置後の呈色反応の有無を調べる。

(b) 試験紙法

アンモニア性窒素の試験紙法(試験紙が異なる)と同様である。

(3)硝酸性窒素

(a) 比色(GR)法

亜鉛粉末で硝酸性窒素を亜硝酸性窒素に還元・変換し、この亜硝酸性窒素を上記の方法で測定する。したがって、測定結果は硝酸性および亜硝酸性の合計量となるので、亜硝酸性窒素の結果を勘案して判断する。
試薬に亜鉛粉末が添加されている。測定方法は、前記の亜硝酸性窒素のGR法と同様な操作により測定する。

(b)試験紙法

アンモニア性窒素の試験紙法(試験紙が異なる)と同様である。

nitrite-colorimetry

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9.りん

 環境水や用排水中のりんは,①りん酸態りん(H3PO4-P)、②ポリりん酸態りん(HO(PO3H)nH-P)、③有機態りん(Org-P)、④不溶性無機態りん(Inorg-P)に分類される。分析化学的にはりん酸イオン加水分解性りんおよび全りんに区別している。
 りん酸イオンはモリブデン青利用比色法・吸光光度法やイオンクロマトグラフ法により直接に測定が可能である(①のみ)。ポリりん酸は硫酸-硝酸の混酸を加えて加水分解し、生じたりん酸イオンを定量する(①、②の合計)。有機化合物りんはペルオキソ二硫酸カリウムを加えて、高圧蒸気滅菌器中で加熱して有機物を分解し、生じたりん酸イオンを定量する(①、②、③の合計)。不溶性無機塩は塩酸でりん酸として溶解し、金属イオンを除去して測定する。
 ②~④のりんの定量は、現場での簡易分析は困難であるので、ここでは、モリブデン青比色法を用いたバックテストによる①のりん酸態りんの測定について説明する。
 一般的に、特定の工業排水を除いて、りん酸態りんの割合が少ないので、現場でのパックテストによるりんの測定結果の評価については注意する必要がある。

パックテストの操作

 以下に、測定操作事例の概要を記載する。詳細は、メーカーの使用法[1]に従って正確に操作する。
 (1) 検水を専用カップに入れて、発色試薬を数滴加え、蓋をして2・3回振り混ぜる。
 (2) 専用チューブの一先端を針で小穴を空け、下半分を強く押して空気を追い出す。
 (3) 小穴のあるチューブ先端を(1)の専用カップの底まで差し込み、混合液の全量を吸い込む。
 (4) 小穴のあるチュー先端を上にして、5・6回振って混合する。
 (5) 1分後に、標準色と比較して濃度を読み取る。
  1) 共立理化学研究所 型式WAK-PO4(測定範囲:0.2~10mg/L)

共存物質の影響

 発色反応は、酸性(pH 1)で還元反応を行うので、酸化物質が共存すると影響を受ける。As5+(微量)、Cr6+・F(20mg/L以上)、Mo6+(50mg/L以上)、Cr3+・Fe3+・Pb2+・残留塩素・シリカ(100mg/L以上)が発色へ影響する。

他の形態りんの測定

 ポリりん酸態りん、有機態りん、不溶性無機態りんも前述した前処理を行ってりん酸態りんに変換すれば、本パックテストにより、測定ができる。分解法については、JIS K0102を参照されたい。

注意事項

 ・試薬は強酸性であるので、取扱いに留意する。
 ・発色pH 1であるので、酸・アルカリ物質がある場合には、NaOHやH2SO4などで中和してから、発色液を加える。
 ・水温が低いと反応に時間が係るので、⒖℃以上で測定する。
 ・比色は日陰の日光で行う。直射日光、蛍光灯、LEDでは比色が困難となる。

<解説>

 JIS K0102 に定められたモリブデン青法は、試料溶液にモリブデン酸イオンを含む酸性溶液と酒石酸アンチモニルカリウムを加え、アスコルビン酸で還元を行う。このとき、溶液中ではアンチモンが付加したモリブドりん酸錯体が形成していると言われている。
 これまでに、アンチモンを含む錯体は [PSb2Mo10O40] の還元体であるという報告がなされており、それが定説となっている。しかし、エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI-MS)を用いて測定した結果では、錯体 [PSb2Mo12O40] の形が示唆された.反応の各段階について詳細に検討したところ、アンチモンを用いるモリブデン青法では、モリブドりん酸錯体[PMo12O40]が形成し還元された後にアンチモンが付加するという反応経路が推測された[2]。
 2) 髙橋茉莉子・田中 美穂:BUNSEKI KAGAKU , Vol. 61, No. 12, pp. 1049-1054(2012)

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10.残留塩素

塩素は衛生上の安全を確保するために、水道水・生活排水処理水やプール・浴場などの殺菌に広く利用されている。残留塩素は消毒後に残った塩素であり、消毒が適正に行われているかどうかの判定において、その濃度測定は欠かせない。一般に、消毒後、残留塩素が検出される場合には、衛生上の指標である大腸菌群が十分減少していると判断される。なお、残留塩素には、分子状・解離状の塩素(遊離型塩素)とアンモニア・有機性窒素化合物と結合している塩素(結合型塩素)があるが、これらが検出されればよいとされている。
室内では、残留塩素は酸化還元滴定法により、その濃度を正確に測定できるが、現場での検査では、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン硫酸塩(DPD)を検水に添加・反応させ、その際に呈する桃~橙赤色を標準液の色と比較して、残留塩素濃度を測定する。

(1)器具・試薬

(a) 比色管:標準比色管と同型の無色硬質ガラス製比色管
(b) 標準比色管
(c) 比色箱:pH測定用と同様なもの
(d) DPD試薬
(e) リン酸塩緩衝液
(f) ヨウ化カリウム

(2)測定方法

(a) 遊離型残留塩素

10mLの共栓比色管にリン酸塩緩衝液0.5mLをとり、これにDPD試薬0.1gを加える。次に検水(塩素濃度2mg/L以下であること、これ以上のときには蒸留水で希釈し、測定値に希釈倍率を掛けて実際の値に換算する。)を加えて全量を10mLとし、混合後(5秒以内)すみやかに標準比色液と比較して塩素濃度を求める。

(b) 結合型残留塩素

さらに、ヨウ素カリウム約0.1gを加えて攪拌・溶解し、2分間静置後、標準比色液と比較して塩素濃度(遊離型と結合型の合計塩素濃度)を求める。2分静置後の値から5秒後の値を差し引いた値が結合型残留塩素濃度である。

<解説>

リン酸緩衝液で反応液を中性に保った状態で、反応を行う。DPDは遊離残留塩素により酸化されて、キノンジイミン(QDI:無色)を生成する。キノンジイミンが未反応のDPDと反応し、N,N-ジエチル-セミキノン中間体(DESQ:桃赤色)を生成して呈色するため、過剰量のDPDが必要である。

chlorine-DPD

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11.塩化物イオン

塩化物イオンは、イオン交換樹脂や逆浸透膜などの特殊な技術により除去できるが、通常の生物学的反応では除去されない。し尿中には、約5,500mg/Lの塩化物イオンが含まれている。みなし浄化槽では、塩化物イオンを測定することにより、水洗トイレによる希釈割合や流入水中のBODなどを推定できるので、重要な測定項目である。また、雑排水では塩化物イオン濃度が不確定であるが、この濃度が著しく低い場合には、地下水や雨水の混入が推定される。
塩化物イオンは、クロム酸カリウム添加-硝酸銀滴定法で比較的簡便に測定できるが、初心者には終点が分かりにくく、有害試薬でもあり廃液は持ち帰り別途処理する必要がある。一般的には、イオン電極を用いて測定する。

イオン電極法

塩化物イオン電極(比較電極との複合体)を検水中に浸し、両極間に発生する電位差を計測・表示される値を読み取る。原理はガラス電極法と同様である。

(a) 測定器と校正

塩素イオン計は本体と接続するリード線の付いたイオン電極から構成される。塩化物イオン標準液(10、100、1,000mg/Lなど)を作成するか市販品標準液を用いて、pH計と同様な操作により測定器の校正を行う。

(b) 測定方法

検水100mLを200mLビーカーに移し、酢酸緩衝液(pH 5)を10mL加えた後、マグネチックスターラーで泡が電極に触れない程度に強く攪拌する。表示値が安定したら、その値を読み取る。塩化物イオン濃度が高い場合には、検水を蒸留水で希釈して測定し、測定値を希釈倍率で補正して実際の値に換算する(希釈したときの、換算式は省略する)。
注意事項は、pH計と同様に電極の保守・校正を行う。

<解説>
(1)イオン電極とは

 イオン(選択性)電極は、目的イオンに選択的に感応して、その濃度(活量)に応じた起電力を発生する。この電位を参照電極を用いて測定し、次式の関係より、試料中の濃度に換算する。
  E = E’ + RT/(ziF) ln Ci  (1)
ここで、E:検出電位[V]、E’:一定値[V]、R:ガス定数、T:絶対温度、F:ファラディー定数、zi:目的イオンの電荷数、Ci:目的イオンの濃度[mol/L])である。



(2)イオン電極の分類

 目的イオンに対して選択的に感応する材料を応答膜(薄膜から、厚みのあるものまである)という。応答膜を材質・機能・形状などから分類すると、ガラス膜、固体膜、液体膜、隔膜、酵素膜の種類がある。
ガラス薄膜をイオン応答膜とする電極には、Na+、H+などを測定するものがある。
固体膜電極は、難溶性金属塩の単結晶もしくは難溶性金属塩を主成分とする粉末を加圧成形した膜をイオン応答膜とする電極で、F、Cl、Br、I、SCN、CN、S2-、Ag+、Pb2+、Cu2+、Cd2+などを測定するものがある。F電極はフッ化ランタンLaF3単結晶をイオン応答膜とし、フッ化物イオンを含む中性内部液を有する電極である。固体膜には、選択性や導電率を改善するため、組成が複雑なものもある。この組成の違いによって、共存イオンの影響も異なる。
液体膜電極は、液状イオン交換体などを有極性有機溶媒に溶解し、これを多孔性隔膜で保持したものや高分子物質にしみ込ませて固定したものをイオン応答膜とする電極で、プラスチック固化膜電極とも言う。NO3-、Ca2+、Na+、K+などを測定するものがある。
隔膜型電極は、pHガラス電極と比較電極を組み合わせた内部電極を支持管に挿入し、内部液を入れガス透過性膜で覆った電極で、NH3などを測定するものがある。
酵素膜電極は、ガラス電極や白金電極を内部電極とし、その表面に酵素固定した膜で覆い、試料液中の特定物質を酵素により選択的に反応・生成した物質を電位または電流を測定して検出するものである。



(3)膜電位

 試料液(イオン j の活量ajx)および基準液(イオン j の活量ajs)を隔離する感応膜に発生する起電力Eは
  E = -RT/F∫∑(tj/zj)d ln aj
  E = -RT∑(tj/zj) ln ajs/ajx
   = -RT/(ziF) ln aix/ais – RT∑(tj/zj) ln ajs/ajx (i≠j)  (2)
ここで、tjは膜内におけるjイオンの輸率、zjはその電荷数(試料液に含まれる正負の全てのイオンについて)
 感応膜膜において、目的イオン i に比べて、他のイオンの輸率は無視できるほど小さいもの、ti ≫ tj (j≠i)、とすると、
  E = -RT/(ziF) ln ais/aix = E”+ RT(ziF) ln aix  (3)
となり、試料液中の目的イオンの活量に対応した電位が発生する。試料液のイオン強度を一定に調整すれば、活量係数は一定となり、上述の式(1)が得られる。
 一般的に、感応膜に発生する起電力は、つぎのように感応膜を挟んで一対の参照電極で測定するが、固体膜では固体膜に直接リード線を接続するものが多い。

一般の感応膜センサ: (-)参照電極|試料液|感応膜|基準液|参照電極(+)
固体膜センサ: (-)参照電極|試料液|感応膜(導電性接着剤|リード線)(+)

(4)共存イオンの影響

 上式(2)の第2項が無視できない場合には、共存イオンの影響を受ける。共存イオンの影響の度合いを選択係数kjで表し、式(2)を変形して、次のように定義される。
  E = E”+ RT(ziF) ln {aix + ∑kjajzi/zj}  (3)
 しかし、選択係数での表示は現場では不便であるので、干渉イオンの目的イオンに対するモル濃度比で示される。この濃度比を越える干渉イオンが共存すると、測定値に誤差が生じる。
 干渉イオンのモル比は、感応膜の材質に依存し、メーカーによってそれぞれ異なるので、取扱い説明書に留意する。
 干渉イオンが共存する場合には、前処理により除去するか、また、マスク剤などがアクセサリーとして容易されているものもある。
(塩化物イオン電極に対する干渉イオンの事例)
 あるメーカーの塩化物イオン電極に対する干渉イオン Izjの最大許容モル比([Izj/[Cl]]を例示するとつぎようになっている。
OH: 80、NH3: 1.2×10-1、S2O32-: 1.0×10-2、Br: 3.0×10-3、S2-: 1.0×10-6、I3: 5.0×10-7、CN: 2.0×10-7


ion-selective-electrodes

 固体膜型塩化物イオンセンサの構造事例
A:固体膜、B:リード線、C:参照電極(Ag-AgCl電極)、D1 D2:液絡部、E1:内部液1(飽和-KCl溶液)、E2:内部液2(100g/L-KNO3溶液)、F1 F2:内部液補充口(ゴム製スリーブ付き)
<測定・保管上の留意事項>
 詳細はメーカーの取扱説明書に従って、測定・保管する。一般的には、つぎのような事項に留意する。
 ① 電位のドリフト、感度が低下した場合には、固体膜表面を研磨紙で研磨する。
 ② 内部液を定期的に補充する。
 ③ 試料液の温度を測定して温度補正を行う。なお、温度センサを電極に装着し、自動温度補正機能を有するイオン計もある。
 ④ 長期間保管する場合には、電極先端を蒸留水ですすぎ乾燥してから、付属のキャップを被せる。内部液を抜き、充填口を閉じて保管する(ゴム製スリーブなど)。
 ⑤ 固体膜の種類によっては6ヶ月程度で劣化するのもがあるので、研磨等で回復しないときないは、電極を交換する。

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12.比重

陸上での海生生物の飼育や備蓄などでは、自然海水や人工海水などが利用される。しかし、水分の蒸発や淡水の混入などにより塩分濃度が変化する。海水の塩分濃度は水域によって異なるが、通常3.3~3.7%の範囲にあり、平均は約3.5%となっている。塩分濃度の測定は煩雑であるので、一般的には比重を測定して塩分濃度の調節を行う。例えば、3.5%の塩分濃度の比重は、1.0263(15℃)、1.0240(24℃)と温度により異なる。正確には、温度と比重を測定し、換算表を用いて塩分濃度を求める。急激な塩分濃度の変化は生物に対して影響を及ぼすが、一般的には、水温に係わらず、比重1.025程度であればよい。
比重計は、粒状の鉛などを硬質ガラスで円筒状に溶封し、上部の細い円筒部に目盛りが付いているものである。これを水に浮かして、水面が接する目盛りを読み取ることで比重を測定する。

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13.汚泥沈殿率(SV30

汚泥沈殿率SV30)は、固形状懸濁物などを含む検水を1Lのメスシリンダーにとり、30分静置後の沈殿物の体積(%)を表す。
活性汚泥法など、微生物を浮遊状態で水浄化するシステムでは、極めて重要な検査項目で、微生物(活性汚泥)濃度や沈降分離性などの指標となる。さらに、生物装置の稼働状況を推測できる。
例えば、活性汚泥法では、沈殿物の色が黄褐色で、その界面が明確で上澄み液が透明であれば、生物反応は良好な状況である。沈殿物が黒色または灰色で、沈殿物の界面が明確でなく、上澄み液が懸濁しているときには、次の状況が推定される。
①汚泥が黒色の場合には、生物システムへの過剰負荷か、または、酸素供給量が不足して嫌気的な状況が考えられる。②汚泥が灰色の場合には。生物システムへの負荷が少ないか、酸素供給量が過剰で、微生物フロックが解体している状況が考えられる。
また、界面は明確で、上澄み液は透明であるが、沈殿物が綿状でSV30が大きい場合(70~90%)には、糸状性細菌の異常繁殖で、沈殿池での分離が困難な状況(バルキング)となっている。食用油分が過剰に混入するシステムでは、汚泥は黄褐色で正常であるが、汚泥の沈降性は全く認められないこともある。

(1)測定器具

1Lメスシリンダーで、内径約6.5cmのガラスまたはプラスチック製で透明なもの。

(2)測定方法

検水を採取・攪拌しながら、メスシリンダーに注入し、30分静置する。沈殿した部分のmL数を読み取り、次式により求める。
SV30 [%] = a [mL]✕100/1,000

測定には、必ず1mLのメスシリンダーを用い、静置時間は30分とする。シリンダーの容量が大きくても、小さくても、沈降速度が異なるので、正確な値とはならない。また、汚泥の色、汚泥界面や上澄み液の状況を観察・記録する。

(3)注意事項

①反応装置内の攪拌状況により、汚泥の濃度分布があることもあるので、攪拌状況も観察・記録する。
②小さなバケツ、柄杓、円筒採水器などで、検水を採取し、攪拌しながら直ちにメスシリンダーに移す。気泡が生じないように移す。直射日光のあたらない水平な場所で測定する。検水採取では、スカムなどが混入しないように採取する。

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14.スカム・堆積汚泥

小型浄化槽などでは、装置の清掃・汚泥の引き抜きは1年に1回程度、保守点検は数ヶ月ごとに行われる。このため、保守点検におけるスカムや堆積汚泥の状況把握は重要な事項となる。また、嫌気ろ床や接触ろ床内の生物膜の状況も、ろ床内の水流短絡や閉塞など、装置の稼働状況の把握とその対応措置の判断に重要な事項となる。地盤調査などのボーリング調査に似ているが、調査対象が液状であるので、調査方法そのものは簡易であるが、注意事項に留意して測定を行う。

(1)測定器具

(a) スカム測定用具

L字型に下降した棒に目盛をつけたもの。

(b) 堆積汚泥用具

内径10~20mmの透明パイプで目盛をつけたもの。

(2)測定方法

スカム厚を測定する場合、まず、測定用具の先端のL字型に画こうした部分がスカムの下端より下になるまで挿入し、棒を回転させ後、引き上げる。測定用具の先端部分がスカム下端に達したときの目盛を読み取る。
堆積汚泥については、堆積汚泥測定用のパイプを目的の場所に垂直に入れ、先端が底部に達した時点で、一方(上端)の開口部を指等で押さえて空封し、そのまま引き上げる。引き上げる際に、重力等で水面が数cm下がるので、その分を考慮する。

(3)注意事項

① スカム厚の測定の際、スカム下端に達した時の感触に留意する。
② 堆積汚泥測定用パイプを引き上げる際に、上端の開口部から空気が入らないようにする。指先を水で濡らすなどするとよい。測定パイプが長くなると、指での空封が困難となるので、適当な長さの軟質ビニール管を取り付けて、先端が底部に達したとき、ビニール管の接合部近くを折り曲げて空封するか、上端部に取り付けたボールバルブなどで空封して、引き上げる。
槽内の水面から底部までの長さとパイプ内の先端から水面までの長さと比較し、差分を汚泥厚に加算する。
③ スカムや堆積汚泥の厚さは、槽内部位によって異なるので、少なくとも、流入部、中央部、流出部の測定は必ず行う。
市販品には、パイプ先端にボールによる逆流防止弁を付けたものがある。
生物膜法では、生物膜の肥大状況、均一な汚水の流動状況を把握することが重要である。しかし、活性汚泥法と異なり、その状況把握は困難である。そこで、つぎのような方法により、生物膜の状況を把握する。
担体(充填)材が規則的でピッチ幅が大きく、堆積汚泥測定用パイプ外径が挿入できるものについては、同パイプを充填床に挿入して生物膜の状況を調べる。不規則な充填床では、内径の小さい透明パイプを挿入して、生物膜の状況を調べる。この際に、担体や担体受け・支えを壊さないように慎重に充填床にパイプを挿入する。垂直方向・水平方向などの部位のことなる箇所から剝離・採取した生物膜の量・色・沈降性を観察すること(13.汚泥沈降率で詳しく述べた)により、ろ床内の状況を把握できる。

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15.汚泥界面

沈殿槽や汚泥貯留槽などでは、底部の堆積汚泥の状況を把握することは、2.スカム・堆積汚泥で述べたとおりである。
堆積界面計には、光学式と超音波式がある。光学式では、投光素子と受光素子が対向した構造となっており、沈殿物などに埋まることにより、光が遮断または大幅に減衰することで、この変化を検出して汚泥界面を検出する。超音波式は、超音波の発信素子と受信素子が一体となっており、発信した超音波と汚泥界面で反射した超音波との時間差を計測して、汚泥界面までの距離を測定するものである。超音波式は、センサー部を水面下に固定あるいは水面に浮かべて、汚泥界面までの距離を検出できる。
現場での簡易測定には、一般的には、光学式が利用されている。目的部分に電極を静かに下ろし、指示計が変化したときのコードの長さから水面からの界面までの距離を求め、水底までの距離との比較から汚泥堆積厚を求める。

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掲載日:2017年11月10日
更新日:2018年07月14日(解説を追加)

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