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活性汚泥法-基本設計と運転・操作因子

ここでは、活性汚泥法の設計・運転に係る項目について解説する。活性汚泥法の室内実験方法について、回分法および連続法の装置と運転を別ページに記載してあるので、ここで示す各項目の具体的な理解と実践に活用されたい。

活性汚泥法の基本設計・運転管理の項目

ここでは、活性汚泥プロセスの設計および操作に係る項目について説明する。図1に活性汚泥法の模式図、表1に設計・操作因子項目を示す。なお、濃度の単位[kg/m3] はそのまま[g/L]に置き換えてよい。
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図1 活性汚泥プロセスの設計・操作因子
表1 活性汚泥プロセスの設計・操作因子
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SS(Suspended Solid)

SSは水中に懸濁状で存在する非溶解性物質の総称で、その濃度は懸濁液に含まれる汚泥の乾燥重量[mg/L]で表される。活性汚泥法では、SSは水を浄化する微生物を意味し、これを活性汚泥(このページでは汚泥と略称する)という。この汚泥には、微生物の他に、流入水由来及び処理中に生成した不溶性の無機物などが含まれている。

ML(Mixed Liguor)

曝気槽内において流入水と汚泥の混合液をいう。

MLSS(Mixed Liquor Suspended Solid)

混合液中の汚泥濃度で、単位容積の混合液中の汚泥の乾燥重量[mgSS/L]で示される。

MLVSS(Mixed Lquor Volatile Solid)

MLSS測定の後、この乾燥汚泥を強熱しその減量からMLVSSの値[mgVSS/L]を求める。MLVSSは汚泥中の有機物量を意味し、MLSSより実際の微生物量に近い値を示す。通常の下水処理場では、MLSSの75~85%を示すことが多い。

返送比 r

返送比 r は、原水流入量(Q i)に対する返送汚泥量(Q r)の比で示される。
r [-] = Q r/Q i ・・・ (1)
r は曝気槽内のSS濃度(S a)の制御に重要な項目である。

SV30Sludge Volume

曝気槽内の汚泥混合液1L(1,000mL)をメスシリンダーに入れ、30分間静置したときの沈降汚泥が占める容積V30[mL]の元の汚泥混合液容積に対する割合[%]で示す。
SV30 [%] = V30 [mL]/1,000[mL]×100 ・・・ (2)

SVIも汚泥の沈降性を示す指標であるが、単位が異なるので注意する。SV30の適正値は20~30%であり、SV30の値が大きくなると沈殿池の上澄液量が少なくなり、汚泥の分離効率が低下する。

SVI(Sludge Volume Index)

汚泥容積指数[mL/g]といい、単位重量当たりの沈降汚泥の容積で示される。活性汚泥の沈降性を示す。SVIは、曝気槽内の汚泥混合液1Lをメスシリンダーに入れ、30分間静置したときの沈降汚泥が占める容積V 30[mL]を測り、活性汚泥1gが占める容積[mL]に換算する。
SVI [mL/g] = V30 [mL]/Sa [mg/L]×1,000[mL]
= SV30 [-]×10,000/Sa [mg/L] ・・・ (3)
正常な活性汚泥のSVIは50~150の範囲にあり、200を超えると沈殿池での汚泥海面が水面近くまで上がり、汚泥が処理水中に流出するおそれがある。

BOD容積負荷 Γv

曝気槽に流入する有機物(BOD換算)量で、曝気槽の単位容積への1日のBOD流入量Γv [kgBOD/m3/d]で示される。
Γv = C i×Q i/Va ・・・ (4)

BOD汚泥負荷 Γs

曝気槽容積Vaの決定や運転管理の上で重要な設計・操作因子である。曝気槽に流入するBOD量と活性汚泥量(SSa)の比Γs [kgBOD/kgSS/d]で示される。
Γs = C i×Q i/Sa/Va ・・・ (5)

生成汚泥(余剰汚泥)

活性汚泥法では微生物が有機物を摂取して増殖し、汚泥が新たに生成する。この生成量を一日当たりの増加量ΔSS [kgSS/d]で示す。これは余剰汚泥として、沈殿池からの返送汚泥の一部(S r×Qe)を引き抜き、曝気槽内の活性汚泥濃度Saを一定に保つ。
ΔSSは流入水のBOD濃度、曝気時間、汚泥中の微生物量の割合などによって異なるが、一般的な経験式として次式で示される。なお、流入水中のSSは考慮していない。
ΔSS [kg/d] = a×ΔBOD – b×SSa ・・・ (6)

ここで、a:汚泥変換率[kgSS/KgBOD]、ΔBOD:除去されたBOD量[kgBOD/d]、b:自己酸化(内生呼吸)の平均速度[1/d]、SSa:曝気槽内のSS量[kgSS]である。ここで(6)式を表1のパラメーターで表すと、次式が得られる。
ΔSS = a×η×C i×Q ib×Sa×Va ・・・ (7)

ここで、η:BODの除去率[%]である。

酸素消費量

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図2 消費酸素推定の係数a’およびb’の例

酸素はBODの酸化分解および微生物の内生呼吸で消費されので、一般的には次の経験式で示される。

O2 = a‘×ΔBOD + b‘×SSa ・・・ (8)

ここで、O2:酸素の消費量[kgO2/d]、a‘:除去BODの内、微生物(SS)の増殖エネルギー獲得に消費される酸素の割合[-]で、一般に1よりも小さい。b‘:微生物(SS)の内生呼吸に利用される酸素量の割合[1/d]。
a‘とb‘は流入水の有機物の種類や活性汚泥プロセスの維持管理条件に依存し、SRTによって大きく左右される。図2に一般的な家庭排水について、SRTと係数a’およびb’の例を示す。

SRT(Sludge Retention Time)

汚泥滞留時間といい、汚泥(SS)が処理系内に滞留している平均日数Ts[d]である。
SRT = (SSa + SSs + SSp)/(SSe + SSo) ・・・ (9)
ここで、SSa:曝気槽内のSS量[kg]、SSs:沈殿池内のSS量[kg]、SSp:返送配管内のSS量[kg]、SSe:余剰汚泥量ΔSS[kg/d]、SSo:処理水中のSS量[kg/d]。
一般的に、SSsSSpSSaに比べて相当少なく、SSoが極めて少ないものとすると、SRTは次式で示される。
SRT ≒ SSa/SSe = Sa×Va/Sr/Qe ・・・ (10)

HRT(hydraulic Retention Time)

HRTは水理学的滞留時間といい、流入水が処理槽内に滞留している平均的な時間[h]を示す。HRTは施設の設計上、重要な項目である。曝気槽滞留時間(曝気時間)HTRaおよび沈殿池滞留時間(沈降時間)HTRsは、次式で示される。
HRTa = Va/Q i×24 ・・・ (11)
HTRs = Vs/Q i×24 ・・・ (12)

rと汚泥濃度の関係

返送汚泥比(r)と曝気槽汚泥濃度(Sa)・返送汚泥濃度(S r)には、次の関係がある。
r = Q r/Q iSa/(S rSa) ・・・ (13)
これは次のようにして導かれる。図1において、流水中の汚泥濃度Siおよび処理水中の汚泥濃度Soは、処理系内の汚泥濃度Saに比べてとても低いものとし、曝気槽内の活性汚泥の生成(増加)量は余剰汚泥の引き抜きによりSaは一定に保たれているとすると、曝気槽における汚泥の物質収支は次のようになる。
S r×Q rSa(Q i + Q r) ・・・ (14)
(14)式と(1)式の関係から(13)式が得られる。

rとSV30との関係

返送汚泥比(r)と汚泥沈降性(SV30)には、次の関係がある。
r ≒ SV30/(100-SV30) ・・・ (15)
これは次のようにして導かれる。(14)式が成り立つ条件の下で、沈殿池での汚泥の沈降性(濃縮率)がSV30と同じ挙動を示すものとすると、SV30は(Q i + Q r)に対するQ rの割合[%]で表すことができる。
SV30Q r/(Q i + Q r)×100 ・・・ (16)
(16)式と(1)式の関係から(15)式が得られる。

活性汚泥法の基本設計・運転管理の事例

ここでは、事例として、都市下水で晴天時最大水量40,000m3/d、その平均的なBOD濃度150mg/L(最初沈殿池による処理後の値)として、標準活性汚泥法を適用した曝気槽の基本設計・運転管理について、その概要を理解する。なお、この試算ではBOD除去のみを目的とし、窒素およびりんについては考慮しない。

曝気槽の容積

容積負荷(Γv)を0.60 kgBOD/m3/dとすると、(4)式より曝気槽容積(Va)を求める。
Va = C i×Q i/Γv
= 150[gBOD/m3]×40,000[m3/d]/0.60[KgBOD]/1,000[g/kg]
= 10,000[m3]

曝気槽内汚泥濃度

汚泥負荷を0.40 kgBOD/kgSS/dとすると、(5)式より曝気槽内のMLSS濃度(Sa)を求める。
Sa = C i×Q i/Va/Γs
= 150[gBOD/m3]×40,000[m3/d]/10,000[m3]
/0.4[kgBOB/kgSS/d]
= 1,500[g/m3=mg/L]

SV30の調整

SV30を30%に調整するための返送比および返送量を、(15)式および(1)式より求める。
r = 30/(100-30) = 0.42 →
Q r = r×Q i
= 0.42×40,000[m3/d]
= 16,800m[m3/d]

SVI

SVIは、(3)式より求める。
SVI = SV30[-]×10,000/Sa[mg/L]
= 30×10,000/1,500[mg/L]
= 200

曝気時間

曝気時間(HRTa)は、(11)式より求める。
HRTa = Q i/Va×24
= 10,000[m3]/40,000[m3]×24[h/d]
= 6[h]

余剰汚泥とSRT

流入水中のSSは微生物の増殖量に比べて相当少ない条件では、曝気槽中の汚泥増加量ΔSSは(7)式から計算できる。BOD除去率90%とすると、
ΔSS = 0.73[kgSS/kgBOD]×0.90[-]×150[g/m3]×40,000[m3/d]
/1,000[g/kg] – 0.075[1/d]×1,500[g/m3]×10,000[m3]
/1,000[g/kg] = 2,800[kg/d]
曝気槽内の汚泥濃度を一定に保つため、汚泥増殖量ΔSSと等しくなるよう余剰汚泥量SSeとして、最終沈殿池からの返送汚泥の一部を引く抜く。(14)式から返送汚泥濃度S rを求め、引き抜き汚泥量Qeを求める。
S r = Sa×(Q i + Q r)/Q r
= 1,500[g/m3]×(40,000[m3]+16,800[m3])/16,800[m3]
= 5,100[g/m3]
Qe = ΔSS/S r
= 2,800[kg/d]/5.100[g/m3]×1,000[g/kg] = 550[m3/d]
SRTは(9)式より求めると、
SRT ≒ SSa/SSe = SVa/S r/Q e
= 1,500[g/m3]×10,000[g/kg]/5,100[g/m3]/550[m3/d]
= 5.3[d]

必要酸素量

図2により、SRT=5.3dにおけるa‘=0.51およびb‘=0.098を適用すると、(8)式より求める。
O2 = 0.51[-]×0.9[-]×150[g/m3]×40,000[m3]/1,000[g/kg]
+ 0.098[1/d]×1,500[g/m3]×10,000[m3]/1,000[g/kg]
= 4,224[kgO2/d]

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掲載日:2017/05/07
更新日:2017/05/22

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