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環境技術 2022


環境技術学会・月刊誌「環境技術」 2022年 特集概要
      目 次 総目次-分野別-
1号 2022年環境行政展望
2号 水素社会実現に向けた取組
3号 浄化層整備の現状と課題について
4号
5号
6号



1号 2022年 環境行政展望



2号 水素社会実現に向けた取組
2021-02-00 編集:中央復権コンサルタンツ(株) 八川圭司
 水素は多様なエネルギー源から製造可能な二次エネルギー(石油や天然ガス等の一次エネルギーを加工して、利用しやすい状態にしたガソリン、電気、熱、都市ガス等のこと)であり、エネルギー安全保障・安定供給上の達リスクの分散に 役立つ。幅広いエネルギーポートフォリオを常に保持することが求められている我が国において、水素・燃料電池技術は有望な選択肢の一つとされている。
 再生可能エネルギーを活用した水素製造が可能となれば、水素利用(燃料電池発電)では水のみ排出されるので、地球温暖化対策になることが挙げられる。現時点では、製造コスト面等の理由から、工業利用向けの化石燃料改質(ガソリンや都市ガスを高温下で水蒸気と反応させることで水素を発生させる製法)による大規模な水素製造が主流だが、太陽光エネルギー、風力、水力、バイオマス等によるCO2 フリー水素の製造が本格化すれば、クリーンエネルギーとしての特質が発揮され、低炭素社会の構築に資することになる。
 水素(製造、輸送、貯蔵)および燃料電池は、横断的技術として流通・需給統合技術に分類されている。単独で効果を発揮するものではなく、エネルギー供給と最終需要の間に入り、柔軟で効率的なエネルギーシステムを支える要素技術の一つに位置付けられていると解釈することができる。特に、従来の電力網では困難だった、大量の電気を長期間、保持できる蓄電機能は、電力の有効活用と過剰な発電設備の回避につながると期待されている。
 本特集では、水素について、(1) 製造技術、(2) 輸送・貯蔵技術、(3) 水素利用技術に関わる諸課題を中心に、大学、行政、企業の各分野から、水素社会構築の意義とそれぞれ具体的な取組について、紹介している。
2022-02-01 水素社会実現に向けて
       九州大学・水素エネルギー国際研究センター 佐々木一成

 産業革命以前には、エネルギー源は木質バイオマスであった。我が国のエネルギー源の主体は、明治以降、石炭、石油、天然ガスへと変遷してきた。今後、再生可能エネルギーへのシフトが必須となっている。これらのエネルギー源の普及には、数十年の歳月を要してきた。
 今後の再生エネルギーへの移行に伴い、その媒体の主流を担うものとして、水素が期待されている。水素がエネルギー媒体の役割を担うために必要な条件は、①水素の供給と②水素の利用に関わる技術の開発である。水素の特徴は、再生可能(グリーン:太陽光発電、風力発電、バイオマスなど)あるいは非再生可能(グレー:石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料)の多様なエネルギー源から水素へ変換可能であること、貯蔵・運搬が可能であることである。一方で、水素は酸素と触れると爆発する危険性があるので、安全性の確保体制も重要である。
 今後の課題として、①現在主流のグレー水素からグリーン水素へのシフト、②電力、運輸、工業、生活のあらゆる分野への水素利用のための社会基盤の構築である。例えば、輸送車両へ供給する水素ステーションの整備である。我が国が長期戦略の中で、「使ってもCO2を排出しない科学的なエネルギー媒体」に関わる技術開発と社会実装を世界に先駆けて進めることを期待したい。
2022-02-02 兵庫県の水素社会の実現に向けた取組について
       兵庫県企画県民部ビジョン局ビジョン課 小寺寿充・檜 達也

 兵庫県は、日本有数の都市圈・工業地域を有する一方、自然豊かな農山漁村、離島など様々な地域で構成され、日本の縮図とも言われる。その多様な特性を活かし、地域に応じた水素施策を進めることで、様々な側面から水素社会へのアプローチが可能である。こうしたポテンシャルを踏まえ、本県では、平成31年3月に「兵庫水素社会推進構想」を策定し、めざすべき水素社会の姿と、それに向けた取組の方向性を示した。
 短期(現在~2025年頃)的には、FCV(燃料電池自転車)やエネフアームの導入支援など実用化段階にある水素アプリケーションの普及を進めるとともに産業支援や県民への普及啓発など、足元の取組を進め、中長期(2025年頃~)的には、国際水素サプライチェーン構築を見据え、県内での水素受入基地の立地と水素発電の導入を目指すこととしている。また、本構想の内容を県民にわかりやすく伝えるため、県がめざす水素社会のイメージを示しかリーフレットを作成し、PRを行っている。
 本構想のもと、より具体的な施策への落とし込みのため、2030年までの指針として、大きく3つの項目に分け今後の方向性を示し、全庁を挙げて取組を進めている。
2022-02-03 Power to Gasに求められる役割
       (一財)日本エネルギー経済研究所 柴田善朗

 PtG(Power to Gas:余剰電力を気体燃料に変換して貯蔵・利用する方法)には多様な形態がある。グリーン水素製造を専用としたものが注目されがちであるが、PtGをVRE(太陽光発電や風力発電など、変動性再生可能エネルギー:Variable Renewable Energy)の系統統合対策として利用することも大事である。水電解を電力需給調整力や余剰電力の吸収に活用する視点が欠かせない。
 PtGにより製造した水素は、産業や大型運輸等、電化による脱炭素化か困難な部門や、レジリエンス強化の観点から今後の継続的な利用が求められるガスネットワークでの利用が考えられる。PtGを介して電力部門とこれらの部門を統合するEnergy System Integrationの実現に向けた議論が求められる。
 国内の再エネを利用するPtGは、エネルギーセキュリティーの改善のみならず、水素の長期貯蔵性による備蓄を通じてエネルギー安定供給やレジリェンス強化にも貢献できる。これらのメリットを経済合理的に顕在化させるためには、国内経済への利益の還流を踏まえ、再エネや水電解を含めた関連産業を国内で育成しつつコストダウンを図ることが求められる。
2022-02-04 触媒化学を基盤とする水素貯蔵法の研究開発
       京都大学大学院人間・環境科学研究科 藤川健一

 本稿では、含窒素環式化合物を有機バイトライトとする水素貯蔵法の開発経緯を紹介する。このなかでも、ジメチルピペラジンとジメチルピラジンとの間の相互変換を基盤とする水素貯蔵法は、今後のさらなる発展に繋がり得るだろう。
 これからの課題は、(1) 本稿で示す触媒よりも高性能かつ安価な触媒を開発して効率性や経済性を高める、(2) 活性を失った触媒の再生方法を確立する、(3) 脱水素化の反応速度を向上させる研究に注力し、実用化の際に求められる高速水素供給を可能にする、といった新しい課題の解決を目指して研究を続けたい。
  水素の貯蔵技術としてはさまざまな選択肢がある。規模や用途、貯蔵期間など、求められる利用形態に合わせ、いろいろな手法を提供できるよう、基礎的な学理や技術的知見を積み重ねることが重要だと考えている。
2022-02-05 水素ステーションの概要と現状
       日本水素ステーションネットワーク合同会社 金子孝久

 水素ステーションの整備数はここまで順調に推移してきたが、国から補助金を受けていることやコストの推移からわかるとおり、現在の水素ステーションのほとんどが経済的に自立していない。よって、引き続き整備数を増やすとともに水素ステーションの自立化に向けたアクションを推進していくことが求められる。具体的には、(1) FCV(燃料電池自動車、Fuel Cell Vehicle)の普及拡大、(2) 整備・運営コストの低減、(3) 販売水素の粗利の改善=水素コストの低減などを検討・実施し、できるかぎり近い将来に採算の取れるビジネスモデルを定着させなければならない。
 また一方で、国の環境に関する政策がより具体的かつ精力的なものになってきている。2020年10月に政府は「2050年カーボンニュートラル宣言」を発表し、それに伴い2021年6月には「グリーン戎長戦略」が策定された。そのなかで、水素モビリティに関する今後の取り組みについては、規制最和に加え、特にFCトラックについては、2050年時点で累積導入台数は最大1、500万台を目指し、商用化を加速するためFCトラックの実証を進めるとしている。
 FCトラックについては、民間企業、すなわちトヨタとホンダがすでに各々トラックメーカーとFCトラックの開発を始めており、走行実証の開始も目前に控えている。将来FCトラックが実用化されれば、FCバズに加え商用のFC車両の往来が多くなる。そうして水素の需要が増加すれば、水素ステーションの必要性はさらに高まる。
 当社は、インフラ事業者と自動車会社の両輪で国と連携し、水素ステーションが自立化し、各種FC車両に持続的に水素を供給できる未来を日指す。


3号浄化槽整備の現状と課題について (詳細概要
2022-03-00 編集:元広島商船高等専門学校 村上定瞭
 我が国では、社会インフラの主要な一つである生活汚水の処理システムが着実に普及している。その主体である下水道事業は、その施設・設備の維持管理と老朽化対策が各自治体の財政的負担となってきた。今後、生活汚水処理計画においては、下水道と浄化槽の整備計画を人口動態や人口密度などその地域の実情を勘案した見直しが行われている。本特集では、下水道と浄化槽の整備計画について、全国および自治体における現状の課題と取組について、その事例を紹介するとともに、浄化槽の最新技術と海外展開について,紹介している。
2022-03-01 浄化槽整備の現状と課題
       (公財)日本環境整備教育センター企画情報グループ 加藤裕之

 我が国の生活汚水処理の現状と課題について、具体的なデータを示して解説し、今後の取組への指針を提示している。
2022-03-02 宇部市における下水道整備計画の見直しと浄化層普及の促進
       宇部市土木建設部下水道経営課 若崎真和・小林千晃

 宇部市においては、専門家および関係者からなる検討員会を立上げ、下水道整備の経緯と現状の課題を解析し、今後の汚水処理計画への提言を行った。この提言を受けて、住民・議会等の理解と承認を得て、今後の下水道事業計画の見直しと浄化槽整備の促進への政策を推進している。
2022-03-03 広島県における浄化槽管理者への意識調査結果と適正処理の促進
       楢原聡子・重野昭彦

 広島県においては、専門家および行政から構成される検討委員会が、浄化槽管理者への意識調査を実施した。この意識調査の解析結果を受けて、浄化槽管理者の意識向上と適正処理の促進について、広島県、浄化槽工事・保守点検・清掃の各業者、浄化槽指定検査機関のそれぞれが一体となった取組を推進している。
2022-03-04 浄化槽の技術動向について
       (株)クボタ滋賀工場技術設計課 北井良人

 コンパクト・高機能・省エネルギーの浄化槽の事例を紹介し、中・大型の浄化槽の遠隔管理システムを紹介している。
2022-03-05 浄化槽の海外展開の現状と展望
       (株)フジクリーン工業(株)海外事業部 田畑洋輔・酒井利康

 日本の浄化槽は、高機能を有し国際的に注目されている。各国の生活汚水の排水基準と実情に沿った浄化槽普及の現状と将来展望について、解説している。

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