2021年3月4日

目次

新型コロナウイルス(COVID-19、以下「コロナウイルス」と略称)は、世界中の人々へ大きな影響を与えている。我が国においても、政治・経済・教育・生活など社会活動に大きな変化が生じている。深刻なコロナウイルス禍を受けられた人々や事業者に対し心からお気の毒に思っています。また、コロナウイルス患者の治療に当たっている医療・支援関係者の方々へ深い敬意を表します。
With/After コロナウイルス社会に関する調査や提言は、政府・メディア・調査機関などから多数に上っている。これらの中で共通するキーワードは「デジタル社会」、「働き方・生活スタイル」、「新たな価値の創造」、「生活の豊かさ」などである。本稿では、コロナウイルス社会の状況を踏まえた上で、地方創成への私見を述べたい。

Ⅰ.コロナウイルスによる社会の変化

コロナウイルス社会に係る調査は様々な視点から実施され、その結果が公表されている。投稿者が興味を持った調査結果の事例を以下に示す。

1.日本のコロナウイルス社会の状況

先進国の中で、日本の人口100万人あたりのコロナウイルス感染者・死亡者の数は極めて低い。この状況について、フランスの経済学者・ジャック・アタリ氏は「日本は、危機管理に必要な要素、国の結束・知力・技術力・慎重さを全て持った国である。」と評価している。政府・自治体は、通勤ラッシュの回避や休校、イベント自粛、不要不急に外出を控えるなどの要請を示し、大多数の日本国民は「わきまえた」対応をしている。しかしながら、PCR検査数は少なく、また、コロナウイルスに対応できる病院はひっ迫した状況で、さらに、国産のワクチンは承認・実用化に至っていない。
<コメント>社会活動において「わきまえた態度や行動」は重要である。しかし、「わきまえた会議」は好ましくない。参加者は年齢・上下の関係に拘ることなく自由な発言・提言が正しい結論につながる。発言や提言に対して「わきまえない人」を避ける経営者・責任者は残念な人である。知識や技術のみでは価値の創造はできない。「わきまえた思考」は価値の創造において障害となる。

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図1 先進7か国におけるコロナウイルス感染者と死亡者の比較
データ引用:Wikipedia, https://en.wikipedia.org/wiki/Template:COVID-19_pandemic_data/Per_capita

2.コロナウイルスの事業への影響

帝国データバンク「新型コロナウイルスウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年12月)」(2021年1月14日発表)によると、コロナウイルスウイルス感染症により自社の業績にどのような影響があるか尋ねたところ(2020年11月)、「マイナスの影響がある」(「既にマイナスの影響がある」と「今後マイナスの影響がある」の合計)と見込む企業は79.9%(前月比 0.1ポイント増)となった。2カ月連続で8割目前の水準で推移している。
また、「影響はない」とする企業は12.0%だった。「プラスの影響がある」(「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)は4.2%(同 0.1 ポイント減)で、前月とほぼ同水準となった。
業種別にみると、「マイナスの影響がある」と見込む企業は、「旅館・ホテル」が94.3%でトップ。次いで、「飲食店」(91.9%)、「パルプ・紙・紙加工品製造」(91.7%)が続いた。「飲食店」においては、忘年会などの年末特需の減少から4カ月ぶりにマイナスの影響を見込む企業が増加した。
また、「プラスの影響がある」と見込む企業は、スーパーマーケットなどを含む「各種商品小売」が39.6%で4割近くに上った。以下、「放送」(17.6%)、「飲食料品小売」(15.4%)などが上位に並んだ。企業から「プレミアム商品券の受注による売り上げ増加」(印刷、東京)といった声が聞かれ、厳しい同じ業界内であっても、コロナウイルスの影響で生じた新たな需要を獲得し売り上げ増加を図る企業も現れている。

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図2A コロナウイルスによる業績へマイナス影響のある上位10業種

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図2B コロナウイルスによる業績へプラス影響のある上位10業種

データ引用:帝国データバンク、https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p210104.pdf

3.コロナウイルスと生活の変化

第一生命経済研究所による「新型コロナウイルスウイルスによる生活と意識の変化に関する調査(2020年10月15日発表)」によると、調査結果のポイントとして次の事項を挙げている。
(1) 感染拡大による日常生活の変化として、「遠出よりも近場で過ごすようになった」、「暇な時間が増えた」人が増加した。
(2) 今後行いたいこととして、半数以上の人が今後も自分の住む地域で過ごすことや地域に興味・関心を持つことに意欲的である。(図3参照)
(3) 高齢者や子どもに関する地域活動の実施状況について、介護・認知症予防に関する活動、子どもや親を対象にした活動は、約半数の人が現在活動を実施していると回答している。
(4) 今後の地域活動の実施に対する意向として、地域の問題解決、地域の環境や施設の維持・管理に関する活動は、約7割の人が感染対策をした上での実施を希望している。
(5) 高齢者や子どもに関する地域活動の今後の実施意向について、介護・認知症予防に関する活動、子どもや親を対象にした活動は6割以上の人が実施を希望している。
(6) 地域活動に消極的な理由として、約半数の人が、自分や家族が感染することを懸念している。また、地域の人とあまり関わりたくないと考える人もいる。
(7) 「感染が終息するまで、地域活動を実施しなくてもよい」と回答した人は、どの活動においても自分や家族が感染することを懸念している.

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図3 コロナウイルスによる生活と意識の変化

質問1:何も予定を入れない時間を持つこと
質問2:自宅近くの店舗で生活日用や食料を買うこと
質問3:遠方へ外出するよりも、近場で過ごすこと
質問4:自宅近くを散歩すること
質問5:自宅近くの飲食店を利用すること
質問6:自分の住む地域の経済について関心を持つこと
質問7:自分の住む行政サービスについて関心を持つこと
質問8:自分の住む地域の街並みや歴史などについて関心をもつこと
 回答 a:行いたい
 回答 b:どちらかといえば行いたい
 回答 c:どちらかといえば行いたくない
 回答 d:行いたくない

引用データ:第一生命経済研究所、http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/ldi/2020/news2010_01.pdf


4.コロナウイルスと社会のデジタル化

(1)テレワーク

パーソナル総合研究所の調査結果(2020年4月17日発表、図4)によると、エリア別に正社員のテレワーク実施率は、2020年4月7日の緊急事態宣言の対象地域7都府県では38.8%に対して、他の地域13.8%となっている。東京都に限れば49.1%であった。
日本生産性本部の調査(2020年5月22日発表、図5)によると、新型コロナウイルスウイルス感染拡大が収束した後も、テレワークを行いたいか、意向を尋ねたところ、「そう思う」24.3%、「どちらかと言えばそう思う」38.4%と、前向きな意向が 6 割を超えている。前出の、テレワークの満足感と符合する結果である。

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図4 緊急事態宣言(2020年4月7日)前後のエリア別のテレワーク実施状況
データ引用:パーソナル総合研究所、https://rc.persol-group.co.jp/news/202004170001.html
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図5 コロナウイルス収束後の働き方の意識
データ引用:日本生産性本部、https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/5f4748ac202c5f1d5086b0a8c85dec2b.pdf

(2)オンライン授業

文科省(2020年7月17日公表)によると、新型コロナウイルスウイルスの影響を踏まえた公立学校の学習指導状況などの調査結果(6月23日時点)において、学校が課した家庭における学習の内容のうち、「同時双方向型オンライン指導」を行った教委の割合は15%となり、前回調査(4月16日時点)の5%から、10ポイント改善した。ただ、ICT活用を課題と認識している教委も多く、特に小中学校ではいまだ改善の余地が大きいことが示された。
同時双方向型のオンライン指導は、前回調査では全国教委の5%での実施にすぎなかったが、今回は15%まで増加した。学校種別にみると、小学校を所管する教委では8%、中学校では10%にとどまったのに対し、高校では47%となった。高校では従前から遠隔授業による単位認定の制度があり、このことが小中学校との差の背景にあるとみられる。
また、家庭における学習の把握状況と支援の方法についても、「同時双方向型のシステムによる連絡」は16%の教委が実施しており、前回の5%から11ポイント上昇した。学校種別に見ると、小学校を所管する教委では9%、中学校では11%だが、高校を所管する教委では49%となり、オンライン指導と同じ傾向が見られた。
e-ラーニング戦略研究所の大学教職員への調査結果(2020年7月16日公表)によれば、オンライン授業の実施率97%に上り、大学教育現場におけるオンライン授業の導入が全国的に進んでいることが明らかとなった。導入時期は、2020年3月以前の4.2%に対し、2020年4月~5月は93.7%と急増しており、新型コロナウイルスにより同授業への移行が一気に進んでいることを示している。実習系の授業(複数回答)については、学校で対面37.1%、オンライン36.1、実施しない32.0%、その他6.2%となっており、苦慮している様子が窺える。

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図6 オンライン授業の実施状況
データ引用:データ引用:1) 文部科学省、https://www.mext.go.jp/content/20200717-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf
2) e-ラーニング戦略研究所、https://www.digital-knowledge.co.jp/wp-content/uploads/2020/07/onlineclasses_report.pdf

Ⅱ.コロナウイルス社会の課題とコロナウイルス収束後への提言

新型コロナウイルスウイルスは人類に大きな影響を与え、社会活動は大きく変化している。投稿者は、地方で生まれ、地方で育ち、地方で働いてきた。自然災害が多発する今日、人類は維持可能な社会を構築できるのであろうか。本稿では、地方から見たコロナウイルス社会の課題とその収束後社会への提言を行いたい。

1.宇宙・地球・生命の変化と進化

宇宙はビッグバンにより誕生(約138億年前)し、急膨張が始まった。その後、宇宙密度のゆらぎにより物質が生成し、そしてこれらが集まって大小さまざまな星が誕生した。大きな星は小さな星を吸収して成長(集中)し、その重さが限界に達すると崩壊して大爆発を起こす(分散)。爆発により吹き飛ばされた元素を材料に、再び恒星や惑星がつくられることとなる。
地球は46億年前に生まれ、海が安定した38億年前頃に生命が誕生したといわれる。一つの単純な細胞であった生物は、様々な環境の変化の中で進化し、現在の多様な生態系の中に我々人類が存在している。宇宙の歴史と同様に、生物は進化の過程で、分散と集中を繰り返してきた。
微生物を閉鎖系で培養すると、誘導期を経て対数増殖し、極大数に達してから一定期間(定常期)を過ぎると減衰していく。また、生物は幾多の厳しい環境変化の中で進化し、今がある。
ここ十数年の間に、東日本大震災、熊本地震、豪雨災害、コロナウイルスなど、次々と自然災害に襲われている。これらは地球・生物の活動現象であって、決して不思議なことではない。以上のような地球環境の変化に対して、我々人類は持続可能な社会を構築できるのであろうか。

2.地方都市・過疎地域の現状

我が国の現状は、東京一極集中である。地域で生まれ成長すると、都市部へと人材が集中している。地方は人口減少と高齢化が進み、消滅する・した地域も少なくない[増田、2014]。地方創成が叫ばれて久しいが、これまでのところ、進展・改善される顕著な傾向は見られない。
瀬戸内海西部の中央に位置する離島で、投稿者は8年間勤務した。この島は、全国では珍しい工業島で、造船・海運・発電・非金属製造の各事業所がある。しかし、島で生まれた若者は、高校卒業と同時に離島し、人口減少・高齢化・空き家が進む島となっている。2000年の人口は10,131人であったが、2015年には7,992人へと減少している。
現在、投稿者は地方県の中核都市(人口16.3万人)に住んでいる。当市は瀬戸内海西部の工業都市で、国立大学の医学部と工学部、私立大学、国立高専、県産業技術センターが設置されている学園・技術都市でもある。過去においては、市中心街は人々で溢れ、夜遅くまで賑やかなところであった。高度成長時代を過ぎた頃からドーナツ現象が起こり、郊外に大型店舗やコンビニが開店すると、街中商店街はシャッター通りとなった。それでも、夜間の飲食店には少数ではあるが人がいた。しかし、国内でコロナウイルスが発生してから、夜の街中に人は全く見られなくなっている。

3.コロナウイルス後の社会

今回のコロナウイルス禍の中で、Ⅰ-2.コロナウイルスと生活の変化に記載されているように、地域に対する意識の変化が起こっている。しかし、これらの意識変化は地域創生へ繋がるのであろうか。
20世紀までの産業社会資本とは、時間距離を短縮するためのインフラ投資であり、これが企業の大量生産技術と組み合わされて、量的な経済拡大が進んだ。21世紀のデジタル社会資本が目指すものは時間や空間の超越である。人々が時間や空間にとらわれずに経済社会活動に従事し、身体的にも、精神的にも、社会的にも満たされた状態(Well-Being)を向上させる「生活の豊かさ」が重視される[此本、2020]。
コロナウイルス社会は、テレ―ワーク・オンライン授業など時間や空間を超えたデジタル社会を進展させる契機となっている。しかし、デジタル社会へ向けて、業種あるいは年齢によっては実現に困難を伴うものもある。幼児教育のデジタル教材の開発は著しく、AI・ロボット技術を適用したホテルも事業化されつつある。医療・介護の分野においてもデジタル化が進展しつつあり、将来的にはロボット化も実現・普及するであろう。
現在、「スマート」という言葉が多用されている。例えば、脱炭素社会と再生エネルギーの分野では、スマートグリッド・スマートエネルギーネットワークである。具体的には住宅ではHEMS(Home Energy Management System)、ビルではBEMS(Building EMS)FEMS(Factory EMS)、地域ではCEMS(Comunity EMS)と呼ばれる電気・ガスなどの流れを効率的制御・管理することである。地産地消はものの生産と消費を地域内で循環させる地域のスマート物流システムである。
現在、GAFAと呼ばれる巨大プラットフォーム、DASLの国内プラットフォームおよび各地域プラットフォームWANおよび個別プラットフォームLANにより、地域の人々は世界中の人々と繋がっている。8年間過ごした離島においても、2008年頃には、モバイルやWiFiが利用できるプラットフォームができ、地域から世界各地へのアクセスが可能となっている。

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図7 デジタル社会のプラットフォーム
GAFA:Google・Amazon・Facebook・Apple、DASL:Docomo・Au・Softbank・Line、WAN:地域プロバイザー、LAN:自宅・集団・自治体のLAN

4.コロナウイルス後地域創生の要件

コロナウイルスは、人々の移動や接触を切断し、これまで築いてきた地方創成の要である人の交流と観光事業へ甚大な被害を与えている。コロナウイルス収束後の観光事業の回復と同時に、地域を活性化する新たな事業の創成が求められる。デジタル社会のプラットフォームが確立した今日、これを活用した事業を実現するには何が必要であろうか。
なお、地方創生におけるデジタル活用においては、さらに詳細な内容(価値・商品の種類と数量、人材・組織と技術、コストと利益、投資とリスクなど)が必要である。このページでは概要を述べるにとどめ、別ページにて詳述する予定である。また、Webなどに数多くの解説・資料・事例が掲載されているので、参考にされたい。

(1) 価値(もの・サービス)の創出

農林水産品、工芸・工業品、研究・教育サービス、芸術・文化作品(文章・写真・動画を含む)、システム(ハード・ソフト)など、もの・サービスはどのような事業分野でもよい。生活・産業の役に立つもの、興味あるもの、楽しいものなど、様々である。地域や場所を超えた価値の創造と地域再生に貢献できる。

(2) 情報発信の強化

過去においては、訪問、電話、チラシ、メディヤ(TV、新聞)が中心であったが、人々はスマホ・PCで国内はもとより世界中の人々とつながっており、自ら創造した価値を発信できる。
この価値を社会へ広く発信できる力が求められる。個人でも組織でも発信ができる。小さな規模から少しずつスケールアップできる。地域から世界へ情報発信が可能である。

(3) 人材の確保

価値創造と情報発信には人材が必要である。個人/集団/自治体のスキルアップが必要である。事業の進展・拡大に伴って、仕事も増え雇用が拡大し、人材も集まってくる。

(4) 資金の調達

価値創造と情報発信には、資金は必要である。個人であれば自宅でも可能であり、集団・自治体などであれば、土地・建物・設備は既存のものを活用し、利益の増大に伴って、余剰資金で拡大・充実すればよい。可能な範囲で個人・集団・自治体の資金(共同出資や外部からの投資・支援を含めて)で立ち上げることができる。

(5)デジタル事業のステップ

インターネットを利用した商取引は、相手・場所・時間に制限がなく効果的な事業である。しかし、多くのリスクを伴うので注意が必要である。初心者は、まず、情報セキュリティに関する基礎知識が求められる。
総務省:国民のための情報セキュリティサイト、https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/
joho_tsusin/security//intro/index.html(図8・9も同サイト引用)
デジタル社会で事業を立ち上げ展開するに当たってのステップを概説する。なお、投稿者はITや事業に係る技術・法令などの専門知識を有していないでの、具体的には関連する公的民的支援機関に相談の上、実施されたい。農作物を事例として説明する。


Step 1) 直接取引

個人・グループを問わず取引先は地元スーパー・商店・飲食店などとし、メール等の連絡や納入・売上など管理をPCで行う。この経験を生かして、遠隔地の取引先を開拓し事業を拡大する。次章5の投稿者の知人の事例を参考にされたい。


Step 2) ショッピングモールへの出店

ショッピングモールと呼ばれるショッピングサイト群があり、ここではその管理会社がWebサーバやデータベースサーバを用意して、step 3に示すショッピングサイトの仕組みを提供してくれる。

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図8 ショッピングモールの仕組み

Step 3) ショッピングサイトの開設

ショッピングサイトは、インターネット上で買い物ができるホームページで、ほとんどのサイトでは、Webサーバとデータベースサーバが連携して動作している。データベースサーバには、顧客情報、商品情報、在庫情報、販売情報などが保管され、Webサイトの訪問者が入力した情報が、リアルタイムにデータベースに書き込まれ、更新されます。訪問者が商品を購入すると、購入情報(購入者の顧客情報や購入商品とその在庫情報)がデータベースに登録される。すると、ショッピングサイト側は、利用者に購入受付が完了したことをホームページの画面上または電子メールなどで通知し、受注情報をショップの管理者側に通知する。ショップの管理者は、この情報から受注・決済などの処理(在庫確認、受付通知、入金確認など)をする。さらに、受注処理をもとにデータベースの情報処理経過や在庫数などを更新し、これらの処理の経過状況を購入者に電子メール等で通知しする。そして、商品の発送処理(発送準備、発送など)や請求処理を行い、購入者に商品が届けられることになる。Step 3にはIT技術が求められるが、個人やグループによる価値創造と発信方法の工夫によって、場所に依存することなく、事業の発展が期待できる。

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図9 ショッピングサイトの仕組み

(6) 価値の評価-受信数/発信数-

事業価値とその将来性は、受信率/発信率や訪問数/発信コストなどによって評価できる。価値を創造しそれを巧みに発信しても、人々がそれを必要としなければ発信は人々にとってそれは迷惑な「スパム」でしかない。今日の社会は、自己の創造物を表面的な工夫によって如何にうまく効果的に発信できるかに主点を置いている。今まさに、「わきまえない」・「真の独創性」ある価値が問われているいる。「マーケティング」とは受信数/発信率である。

5.投稿者・周辺の状況

投稿者は、退職後、当webを立ち上げ、現職時代の経験を利用した環境関連の教育研究や技術開発に関する情報を発信している。学生・企業技術者からの様々な質問・相談にも対応している。主な経費は、自宅に設置しているPC・通信設備(LAN)、地域プロバイザー(WAN)、DASLの一つに設置しているレンタルサーバーの経費と書籍・資料(電子版を含む)の購入経費である。外部の資金援助は全く受けていない。年金の範囲内で運営しているが、書籍・資料の購入費が高い割合が占めている。
投稿者の知人の一人は近くに住んでいる。その知人は、会社退職後、親から受け継いだ農地を利用して、野菜栽培を営んでいる。農業には広い知識・技術と工夫が求められ、栽培法・肥料・農薬については、自宅に設置した1セットのPCとWi-Fiからこれらの情報を得ている。さらに、① JA等の野菜栽培講習会などを有効利用するとともに、② 経験豊かな専業農業従事者からの情報とアドバイスを参考にしている。特に、地域特性・天候気温等への対処法などに関するローカル情報は、PCから得ることのできない非常に重要なものである。また、PCを地元スーパーへ接続し、収穫物の納入・売上高の管理とともに、ニーズの把握と栽培作物の計画を行っている。なお、OSとしてフリーソフトUbuntu(Unix系)を実装している。PCの不具合や利用方法については、投稿者が必要に応じて支援している。
投稿者の孫は、近く住む長女の3人と県外の次女の3人である。コロナによる巣ごもり生活の中で、喧嘩も絶えないが、「YouTube」と「ゲーム」を楽しんで、たくましく成長している。社会はコロナによる教育の遅れを心配してしている。より高い知識を求めることは当然としても、それを活用する能力がなければ意味がない。コロナ後の社会再生は、知識・技術とその活用力が求められているのである。普通生活と異なるコロナ生活の経験は、孫たちにとって将来の困難を乗り越えるときの糧となることを願っている。

6.デジタル活用地域創生の事例

(1) 遠隔地の距離的・時間的な制約を克服するICT活用推進事業-岐阜県白川町

1)遠隔地にある小規模小・中学校をICTでつなぎ、小規模であるが故の教育上のデメリットを改善する。2)遠隔地にある学校や役場、ふれあいセンター、町立図書館などの公共施設をICTでつなぎ、生涯学習の充実や、緊急時の対応を図る。3)町外施設とをICTでつなぎ、学習空間、生活空間を拡張する。4)ICTを活用して、町内の会議をTV会議化し、距離的時間的ハンディーを克服する。

総務省ICT地域活性化事例100選:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/local_support/ict/jirei/2017_083.html

(2) 富士通・旭酒造の食・農クラウド-山口県岩国市

日本酒「獺祭」蔵元(旭酒造)が、生産者と協働し、栽培の難しい最高級酒米「山田錦」の最適な栽培手法・ノウハウをクラウドに蓄積、相互に情報(ビッグデータ)を共有し、収穫量増大とブランド向上、地域生産者の所得向上の好循環を形成している。
同社HP:http://www.asahishuzo.ne.jp/

(3) ITベンチャー企業のサテライトオフィス-徳島県神山町

過疎に悩む人口6000人足らずの小さなまちだったが、町からまちづくり活動の委託を受けた特定非営利活動法人『グリーンバレー』の先導により、「神山町をステキに変える」という取り組みが多くの人たちの関心を惹きつけ、国内外からの移住希望者が続々と集まるようになった。

紹介記事:https://www.homes.co.jp/cont/press/rent/rent_00382/

参考文献

此本 臣吾、2020:ポストコロナウイルス社会に向けたデジタル社会資本の整備、NRI未来創発フォーラム2020
増田 寛也、2014:地方消滅、中央公論新社