本年2月下旬現在、新型コロナウイルス感染者が、若年者から中・高齢者へ、さらには幼年者へ移行しつつある。感染者の宿泊療養施設や入院治療施設が逼迫している中で、これらの療養・治療が困難なケースもあり、自宅療養・家族内感染対策が課題となっている。
 自宅療養においては、感染者の症状と性別・年齢によって対応が異なり、また、家族構成や住居状況などにより、対応方法は様々異なると思われる。
 自宅療養で問題となるのは、感染者への対応は当然として、介護者・家族(特に、高齢者や子供)への感染防止対策が最も重要と考えられる。本ページでは、筆者宅での自宅療養事例を紹介する。関係者のご協力もあり、感染者の治癒および関係先・家族など他者への感染を防止できて、収束することができた。

<感染・症状・療養の経緯>

 別居家族の一人(男性、43歳)がコロナ感染(軽症)した。その家族内感染を防止するため、筆者宅で在宅療養することとなった。
 (1) 当人は、感染3日後(金の夜)に発熱(38~39℃)・咽頭痛・咳・倦怠感で発症した。感染日・場所は、その日訪れたある施設(後日、そこでコロナ感染者発生が確認された。)と思われる。感染5日後(土・日を挟んでいたので)・受診、症状および新型コロナ・インフエンザ抗原同時検査(定性)から新型コロナウイルス感染軽症者(オミクロン株と推定される)と診断された。
 (2) 兎に角、他者への感染防止が最優先と思われたので、直ちに、筆者宅での療養とした。処方箋は、解熱剤のみであった。感染後9日が経過した時点で、平熱となり、喉の痛みが僅か残っていたが、軽快へ向かった。感染後12日が経過した時点で、完全に平常の健康状態となり、保健所から当人の自宅療養解除が示された。
 (3) 当人の症状について、通常の風邪やインフルエンザの症状と異なる点は、鼻水・鼻づまり・痰がほとんどなく、関節痛や筋肉痛は認められなかった。上記症状のピークは感染後3~5日で、その後、回復に向かった。
 (4) 療養宅の家族は、筆者(介護者、男性、75歳)と家内(70歳、糖尿病2型)である。筆者・家内は、在宅療養3日経過後のPCR検査は陰性であった。保健所への感染連絡後、濃厚接触者へのPCR検査は迅速であった。家内の生活空間と感染者とは、完全に遮断した。療養開始から14日経過した時点で、介護者・家内への感染症状は認めらず、保健所より濃厚接触者の解除が示された。
 (5) 当ウイルス感染については、当感染者の関係先(休業5日間)や健康行政機関等へ多大な迷惑をお掛けした。関係先や関係家族を含めて、他者への感染は認められいないことが幸いであった。

<自宅介護の状況>

1.備品など(介護者用)

①体温計、②マスク(不織布三層)、③花粉・飛沫対策メガネ、④ビニール手袋(使い捨て、清掃・介護用)、⑤ビニールゴミ袋60L以上(衣類への飛沫付着対策用エプロン:上半身を覆うために、ポリ袋底の両端を包丁でカット(両腕を通すため)、半折にして同様にカット(頭を通すため))、⑥アルコール消毒スプレー(手など身体用)、⑦アルコール消毒スプレー(ドアノブ・家具など用)、⑧スリッパ底付着物除去用マット(バスマット)、⑨塩素系衣類消毒剤

 *上記の備品は、ドラッグストア・スーパー・百円ショップなどから、入手できる。
 *上記の備品は、感染者居室から少し離れたところの棚に整備した。
 *介護者用袖付きエプロン(使い捨て)が望ましかったが、早急に入手できなかったので、上記の⑤透明ポリ袋で代用した。
 *感染者居室から退出時ごとに、スリッパ底の付着物を除去した。数枚を、適宜、塩素系衣類消毒剤で処理・洗濯・交換した。

2.備品など(感染者用)

①体温計、②血中酸素濃度計、③マスク(不織布三層)、④タオル(2枚以上)、⑤ティッシュペーパー、⑥ウエットタオル、⑦ゴミ箱、⑧ゴミ袋

 *マスクは2枚装着させ、適宜交換している。咳の時には、全て(介護者が居ないときも)、両手でもって半折タオルで顔面を覆い、咳飛沫の室内飛散を防止するように感染者に徹底させた。
 *感染者居室の換気は、適宜、外部ベランダへ通じる東側・西側の両ガラス製ドアを全開して行った。
 *感染者の食事・間食は、全てファーストフード(はし、スプーン、フォークを含めて)とし、残った容器等は自室のごみ袋に廃棄させた。
 *血中酸素濃度(SpO2)計は、別途、通販で購入した。保健所から発送したとのことであるが、感染者の居所変更により、結果として届かなかった。

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写真 新型コロナウイルス感染者の自宅療養で必要とする主なグッズ(事例)
(厚生労働省や各自治体が提示している新型コロナウイルス感染症「自宅療養のしおり」を参考にしてください。)

3.感染者の居室・トイレ・洗濯・入浴など

(1) 感染者は2階の居室で過ごした。
(2) 感染者居室には、携帯、テレビ、パソコンなどを備え、退屈しないようにした。
(3) 介護者は一人専任(筆者)とし、感染者居室の隣居室とした。
(4) 介護者・同居者との連絡は、携帯で行った。
(5) 感染者用トイレ(2階)と家族(介護者を含めて)用トイレ(1階)を分けた。
(6) 洗顔は水洗トイレのタンク蓋上の手洗吐水口から大きめの風呂桶(プラスチック製)へ水道水を充水して行った。歯磨き後の口内濯ぎも同水口からコップに充水して行った。排水は、直接、トイレに流し込むと水沫が飛び散るので、同タンク蓋に流し込んだ。
 このようにして、1階にある家族共用の手洗い設備・備品の感染者による使用を避けた。
(7) 感染者の入浴は、適宜行っているが、着替えの処置・入浴後の消毒など、介護者が注意しながら実施した。

4.介護者の留意事項

 感染者状況の観察・聴取、現場での助言、食事・食器・衣類・ゴミ・その他の搬入・排出など、どうしても感染者居室への入室が必要な状況であった。下記の状況で、介護を行った。
 (1) 感染者居室への入室の際には、「1.備品など」に記載の、マスク2枚重ね、飛沫対策メガネ、ビニール手袋、飛沫対策ポリ袋(簡易エプロン)を装着し、退室後、直ちに介護専用ポリ袋に廃棄した。飛沫対策メガネは2個用意し、使用後適宜、消毒液(洗剤含む水内での室温・半日以上の漬け置き、コロナウイルスなどエンベロープ型のみ有効)で処理した。
 (2) 感染者の使用した衣類・タオル、ゴミ袋、その他を同居室外で扱う時には、全てビニール手袋を装着して行った。
 (3) 介護者が感染すると同居者(高齢、既往症有)への感染リスクが高くなるので、感染者居室への入退室時の感染防止対策を徹底して、他場所・空間へのウイルス拡散の防止に努めた。
 (4) 感染者の着替え衣類・タオルなどは、塩素系漂白剤で半日以上処理(室温でバケツ内漬け置き)した後で、洗濯した。
 (5) 以上のような対応により、頻繁な手洗いやドアノブ・トイレなどアルコールまたは塩素系消毒液による拭き取りは行わなかった。家内は1階のみで、普段と変わらない生活を送った。

5.困ったこと、その他

 (1) 自宅療養のガイドやハンドブックについては、国・地方自治体・関連学会・医療機関などの様々なWebサイトおよびTVなどのメディアから情報発信されているが、他のコロナ関連ページと混在し、一般家庭(特に高齢者)にとって、その情報取得が難しいケースも考えられる。
 一般家庭の療養(特に、高齢家庭・幼児家庭・住居状況など)では、困っていることが多数事項あると考えられる。
 (2) 筆者・家内は、高齢者であり車免許を返納してるので、行政機関が実施する濃厚感染者のPCR検査会場への移動手段に困難を生じた。
 (3) 濃厚接触者は外出できないので、感染者・介護用に必要な食事・飲料の調達に苦労した。特に、介護者用袖付きエプロン(使い捨て用)が欲しいところであったが、近くのドラッグストアで販売していないので、ゴミ袋で代用した。通信販売で入手可能であるが、手に届くころには、自宅介護も収束していると思われた。
 (4) 筆者・家内の食材・日用品などは、普段より移動販売車から入手しているので、特に問題はなかった。介護中および濃厚接触者解除までの間、洗濯衣類かごに購入品メモと現金を入れて玄関先に置いて、業者との接触はなかった。
 (5) 県外を含めて散在している家族関係者のコロナ感染を心配していたが、自宅介護の準備をしていなかった。感染者の受入れ当日(夕刻)、その居室準備に追われ、それが終了するまでマスクのみで対応したので、感染リスクが高かった(雑談に記載)。上記の「1.と2.備品」を勤務から帰宅途中の娘に依頼し、早急に整えることができた。

雑 談

1.子ども達が成人・独立してから、2階の三部屋は空になった。当時、筆者は県外単身赴任であった。家内は、2階の一部屋に寝室を移した。筆者が定年退職後、2階の一部屋をテレワーク兼寝室とした。
 (1) 2年前、家内は不注意から転倒して大腿骨頸部を骨折し、人工股関節に置換された。2階で暮らすのは危険なので、1階へ寝室を移し、その部屋は衣装置き室となった。
 (2) 残り一部屋は、広く、県外で暮らしている次女の家族5人が盆・正月など帰省した時の寝室として利用していた。ところが、新型コロナ発生以後、娘家族は帰省していない。そのため、布団類に加えて、窓側は多数の熱帯植物の置き部屋となっていた。
 (3) 今回の上記の発熱・咽頭痛・咳の症状を家内から聞いた時(受入れ当日)、コロナ感染ではないかと少し疑っていた。午後5時半頃に、コロナ感染と診断され、直ちに自宅療養となった。
2.慌てたことは、次のような感染者の受入れ準備である。
 (1) 先ず、植物の鉢類をベランダへ移した(寒気で数日後に枯れた)。
 (2) 布団類を同部屋押入に移す途中で、感染当人が当宅着、直ちに、当部屋に入室させた。
 (3) その部屋の天井照明のスイッチ吊り糸が根元から切れていた。以前から修理しようと思っていたが、そのままになっていた。暗くなっていたので、脚立に乗って、懐中電灯下での作業となり、シーリング(大きいサイズ)の取外しに手間取った。何とか、シリーリングを外して細い銅線でスイッチに接続できた。加えて、シーリングの装着に再び手間取って何とか仮修理ができた。
 (4) 布団類を押入に移す作業を再開・終了後、次は部屋掃除であった。
 (5) これらの作業中、当人と筆者は同室内にいた。両者とも2枚マスクをしていたが、発咳の時、タオル2枚重ねて半折にして顔面を覆ってするようにした。
 (6) 以上の作業が終わって、ようやく当人の居室(移動式テーブル、椅子など搬入)と寝床の準備ができた。
3.当人は、軽い夕食(ファーストフード)と飲料を摂って、入眠した。
4.準備作業中、職場(地域中核病院)から帰宅途中の長女に購入依頼していた上記の介護用品類が届けられた。翌日、TVとPC(サイズの大きい別モニター付き)を設置した。

 *) 反省点は、いずれ、親族の誰かがコロナ感染することは考えていたが、準備をしていなかったことである。
 *) ラッキーな点は、(1)家内の居室を1階に移していたことと、(2)療養中、北京2022冬季オリンピックが開催中で、回復期において当人が退屈しなかったことである。


掲載日:2022年2月11日
更新日:2022年2月25日