高齢化が進む社会では、高齢者の社会参加が求められる。これは収入源ともなるが、健康の維持管理と生活の質向上にとっても深い意義がある。規定年齢は延長されつつあるが、いずれ定年退職を迎えることとなる。一方で、テレワークは年齢を問わず就業機会を高める基本のツール・プラットホームとなった。テレワークは、作業時間に関係なく、営利・非営利を問わず、目標に対する成果や結果のみが問われる。目標とは個人・個人がそれぞれの視点から見た到達値である。
 高齢になるほど、体力・持続時間が続かない。また、もの忘れも多くなる。長時間に及ぶ作業も困難となる。それぞれの年齢・個人に沿った気分転換・休息が必要となる。
 本ブログでは、テレワークについて高齢者の立場から私見を述べる。作業内容は業務分野・内容によって様々に異なると思われるが、作業効率は年齢・性別・家族構成・住居環境・生/育/職歴の状況に大きく依存するので、個々に適切な作業環境を工夫することが重要であって、一律ではない。本文章の主語は当ブログ者であって、他人ではない。当ブログ者が自分自身に対して語っているのである。
 テレワークには、サテライト/モバイルなどの作業形態もある。しかし、自宅(ホーム)テレワークは、出勤の制約がなく、自己都合に合わせた仕事ができるメリットがあるが、多くのデメリットもあり、認識すべきことは自己管理が問われることにある。

1.安定な精神の管理(気分転換)

 ヒトの精神・体調は時(日/月/季節)・家族・社会など、時間・場所の状況によって影響を受け、常に変化している。作業に支障を生じない精神・体調の安定保持が必要となる。

(1)音楽・TVなどのメディア利用

 気分転換のため、音楽を聴いたり、TVを視たり、多様なメディアを利用すること。
 TVは別部屋がよい。コーヒーブレイク・ダイニングなどの部屋に設置して、その時、視聴するようにすると無駄がない。作業部屋におくと、興味ある番組を没頭すると時間の無駄になり、それが習慣化すると障害となる。
 音楽は、配信専用の安価なデバイス(例えば、Fireなど)をステレオ(安価から高価まで)に接続して利用するとよい。配信会社のAIロボットが各視聴者の好みを収集・編集してくれるので、CDと違って一つひとつ操作する必要がない。音楽は、作業部屋においてもバックグランドとして利用できるので、特に作業の障害とはならい。

(2)趣味・スポーツ

 趣味・スポーツは、数分から数日にわたることもある。ここでいう趣味・スポーツとは、日々の仕事に支障のない程度の趣味を意味する。旅行など数日のことではない。
 例えば、ガーデニング、室内植物の手入れ、手芸、・・・・など、外出だけではない居住環境に沿った工夫である。

(3)人間関係

 ヒトは、常に、孤独感に襲われ他との接触(会話だけでなく、非会話で見るだけのこともある人的刺激)を求める。家族・友人・他人(全く関係のない人)との接触を心がけること。電話は便利であるが、現状では通信料が高価となる。より安価なメディアを活用した人との接触が求められる。

(4)家事

 洗濯・掃除・料理・買物など何でもよい。仕事から離れた作業が刺激となり気分転換となる。少しずつできることを増やすとよい。仕事に関係することもあるので、よい発想が生まれ、新たな価値の創造につながることも少なくない。

2.作業する部屋・配置の工夫

(1)自分の部屋

 自宅でのテレワークには、家族、特に配偶者や子/孫も(特に、幼児)による働きかけが問題となる。作業に集中する場所の確保が重要である。別部屋でなくても、柵・カーテンなどの簡単な仕切りでもよい。

(2)自由に配置

 作業しやすい配置とする。
 老化とともに、長時間の作業が困難となる。私のケースは、寝室と作業室を兼用とし、ベッドを長椅子として使用している。疲れると、ベッドに横たわって、音楽を聴いたり、本を読んだり、ディスプレイ(コロ付きラック)を手繰り寄せて、Web検索や資料を閲覧したりしている。短時間の睡眠をとることも多い。老化に伴い、数時間で目が覚める。この覚醒時、仕事をすることもある。睡眠導入剤が必要なこともある(必ず、1日にあたりの服用量と回数は医師の指示に従うこと)。

3.作業目標と時間管理

 出社勤務では、①起床・朝食・着替え、②出社移動、③仕事、④昼食・休憩、⑤仕事、⑥帰宅移動、⑦着替え・夕食・入浴・休息、⑧就寝の繰り返しである。
 仕事以外に、周期的な時間帯があり、頭の切替、移動中観察、・・・、外部からの数多くの刺激を受けている。テレワークでは、このような周期的な頭の切替や刺激が激減する。

(1)スケジューリング

 ①日・週・月・季節・年間(以下、「時間」と略称)の目標とそれを達成するためのスケジュールリングが必要である。
 ②それぞれの目標達成の確認と修正によって、スケジューリングの変更を伴う。

(2)時間管理

(1)の結果により、次の「時間」ごとの柔軟な管理変更が必要となる。

(3)作業要素の切替

 ヒトは同じことを繰り返すと、少しずつ作業能率が低下してくる。作業目標が同じでも、その作業内容は、それを構成する要素ごとに異なる。作業効率が低下して前へ進めないときは、別の作業要素へ切り替える。
 目標とする仕事を完成するために必要な作業内容を分割して、それを作業要素とする。例えば、資料収集、文書作成の手段(文章、計算、イラスト、図表など)、作成文書の修正、複数の文書類、分野ごとの文書類など、様々な作業要素の区分けがある。これは、事項で述べる資料管理と深く関連する。
 各要素を組み立てて、全体(目標)を構築していくことを習慣化し、作業要素を切り替える工夫により、最終目標を達成るする作業総「時間」を短縮できる。

4.資料の利用と管理

(1)検索

 ①作業に必要な資料(情報)は何か、②その資料はどこにあるのか、③その資料の収集手段はどうか、④入手した資料の保管はどうするか、などである。

(2)保管

 情報の保管は、何度も加筆・削除のため、再利用される。情報の保管庫(フォルダ)を系列ごと階層ごとに構築し、個々の情報を保管して、再利用の効率を高める。

5.発想とメモ

 価値の創造には発想が重要であるが、その発想の予測はできない。気分転換中にふと発想が起こることは多い。そのとき、直ぐ記録すること。紙切れでも、メモ帳でも、手のひらでもよい。記録しておいて、後ほど整理して保管しておく。老化により、数秒も前の記憶が消失する。これは思考力の低下とは全く異なる生理現象である。

6.社会状況の把握

 通勤では、移動中・社会勤務のとき、社会変化の状況を得ることができる。自宅では、社会の状況変化に触れることがない。新聞/TV/Webなどから社会変化に関する情報は特に大切となる。
 ヒトは関心・興味あることに集中できるが、それが分野外の情報には注意が向かない。しかし、視野が狭くなると、創造が生まれる機会が少なくなる。時間の無駄でも、他分野の情報収集に時間を割くことも必要である。特に、広告・販売・企画・総務・研究系などに関わる分野では、他分野の動向は特に重要であろう。

7.健康の維持管理

 精神・体力ともに、健康の維持は最も重要な事項である。

(1)糖分の保管

 脳の活動には、多量のエネを必要とする。エネは糖が燃料となる。糖尿病が生じない/悪化しない範囲での、糖分を補給する。

(2)食事のバランス

 バランスの取れた食事が必要で、これに関しては、多くの著書やWebから情報が得られるので省略する。ただし、摂取したカロリーと食質の概算ができるとよい。写真入りの食材とカロリー数・食質を記載した本と電子天秤をキッチンに置いておくと、慣れてくると概算ができるようになる。下記(4)と合わせて、食生活の管理が自然とできるようになる。

(3)運動

 ヒトの生体の維持には、体を動かすことが必須である。テレワークでは、運動不足を原因として肥満・筋肉の弱体化など、体調の維持管理が難しくなる。1.精神管理で述べたことの繰り返しとなるが、作業に支障がない疲れ・時間の範囲内で、室内・室外に限定せず工夫をして運動量を確保する。

(4)定期健診と健康管理

 老化してくると、生体を維持する制御機構が崩れてくる。掛かり付け医を決めて、定期的な検査と適正な服薬が必要となる。掛かり付け医は選ぶ必要がある。

<あとがき>

 余談であるが、近くに長女夫婦が住んでいて、3人の女孫がいる。2番目(小3)と3番目(幼中)が、時々、遊びに来る。居間にあるTV・PC(モニター付き)にゲーム機を接続して、ゲームやYouTubeで時を過ごしている。社会変化を感じる瞬間である。
 老化とは、年ごとにその速度が増加する。昨年できたことが、今年は困難となる。一方で、社会の変化は、老化のような後退ではなく、前へ向かって進んでいる。それは速く・深く・広く進歩している。ブログ者は、退職前のおよそ15年間は、現場から離れた職務にあり、その間の生物学分野での進展は驚くべきものである。今、この空白期間を埋める作業が最大の目標となっている。
 人それぞれに、現役時代には、仕事や家庭の事情等により、実施や体験できなかったことがあると思う。定年退職後には、過去できなかったことに挑戦できる機会ともなる。これは、社会参加への障害にはとはならない。是非、実現してほしいと思っている。また、長年の間に取得した知恵と経験を未来の社会へとつなぐ役割を担っている。今日は、多くの方が退職し、新たな人生への一歩を踏む出すこととなる。方々には、ご健勝とご発展を心から祈っている。
 2021年3月31日