村上定瞭(水浄化フォーラム)

8年前に、瀬戸内海「しまなみ海道」沿いのある島を訪問した。本サイト編集者が、広島県の離島で勤務していた頃の話である(本ページの下部に本島内の風景写真を例示)。

今から、30年前の数年間、A社とし尿の無希釈・膜分離活性汚泥法(BOD・窒素の同時除去)の開発・実用化に携わり、この島に、国内での本方式の第1号機が設置された(余談であるが、大阪・海遊館の水槽浄化装置の建設にA社とともに関わった。)。また、当時、水産養殖場・活魚水槽の浄化装置の設計と維持管理に係わる研究も、装置メーカーや養殖場・活魚販売店・料理店等と共同で行っていた。この島では、鯛・車エビなどの養殖も盛んに行われていたので、養殖関連の装置メーカーの社長と数回訪れたことがある。当時は、瀬戸大橋も建設中で、この島へは広島県尾道市から連絡船で渡った。

さて、話を8年前に戻す。この島の30年前のことが懐かしく、船と車に乗り継いで、し尿処理施設と養殖場を訪れた。し尿処理施設は、設置後20数年が経過し老朽化していたが、正常に稼働していた。愛媛県今治市職員の方(高専出身者、機械系学科)が対応してくれた。養殖場では、当時の経営者・従業員は退職し、若い世代の人たちが働いていた(多くは水産学系学部出身者)。ただ一人、当時の女性事務員の方が勤務していて、昔話ができてよかった。

この島の周辺地域(広島県と愛媛県にまたがる瀬戸内海の島嶼地域)は、自然も豊かで島々の風景も素晴らしいところである。しかし、小子高齢化人口減少が著しく進行している地域でもある。この島を訪れて、過ぎし日の想い出が懐かしく、また、過疎化の厳しい現実に複雑な思いの訪問であった。


<養殖場の風景>(1988年当時、瀬戸大橋の通行開始の年)
(残念なことであるが、し尿処理施設の写真は見つからなかった)

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鯛の種苗用親魚の飼育水槽
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鯛稚魚の餌プランクトンの培養生産
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高級魚クエの養殖場
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車エビの養殖場(稚エビ放流前の天日干し)

<瀬戸内海の離島の風景>(編集者が8年間勤務した島)
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島内山頂から見た一風景

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島内の住居地区の一風景

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島内の代表的な農産業(左から、ブルーベリー、ミカン、レモン)

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サマーフェスティバルの一つ~子供たちの魚つかみ取り大会~

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お盆には、都市で生活する多数の島出身者家族が帰省する。終日の連絡船港でのお別れは流涙する。


掲載日:2017年11月12日