村上定瞭(水浄化フォーラム)
強酸・強塩基
強酸
塩酸 HCl
HCl → H+ + Cl–
硫酸 H2SO4
H2SO4 → 2H+ + SO42-
強塩基
水酸化ナトリウム NaOH
NaOH → Na+ + OH–
水酸化カリウム KOH
KOH → K+ + OH–
弱酸・弱塩基
弱酸
酢酸 CH3COOH
CH3COOH ⇄ CH3COO– + H+ pKa = 4.76
炭酸 CO2
CO2(g) + H2O ⇄ H2CO3
① H2CO3 ⇄ HCO3– + H+ pKa2 = 6.34
② HCO3 – ⇄ CO32- + H+ pKa1 = 10.25
リン酸 H3PO4
① H3PO4 ⇄ H2PO4– + H+ pKa3 = 2.13
② H2PO4– ⇄ HPO42- + H+ pKa2 = 7.21
③ H3PO42- ⇄ PO43- + H+ pKa1 = 12.32
弱塩基
アンモニア NH3
NH3 + H2O ⇄ NH4+ + OH– pKb = 4.75
<留意事項-酸解離定数の表記>
本サイトでの酸解離定数Kaiの表記法については、別ページの説明に留意されたい。
塩
強酸と強塩基
NaCl、Na2SO4
KCl、K2SO4
水溶液は中性である。
NaCl → Na+ + Cl–
強酸と弱塩基
NH4Cl、(NH4)2SO4
水溶液は酸性である。
NH4Cl → NH4+ + Cl–
NH4+ + H2O ⇄ NH4 + H3O+
弱酸と強塩基
Na2CO3、K2CO3
水溶液はアルカリ性である。
Na2CO3 → 2Na+ + CO32-
CO32- + H2O ⇄ HCO– + OH–
弱酸と弱塩基
(NH4)3PO4
電離度の大小により、異なる。リン酸アンモニウムは弱アルカリ性を示す。下記に示すように、解離度は共役酸NH3よりも共役塩基PO43-が大きい。
(NH4)3PO4 ⇄ 3NH4+ + PO43-
NH4+ + H2O ⇄ NH3 + H3O+ pKb = 4.75
PO43- + H2O ⇄ HPO42- + OH– pKb1 = 1.68
解離定数
ところで、酸・塩基の強さはオキソニウムイオンあるいは水酸化物イオンを生じる度合いにより、これらは(2)/(4)式で示す平衡定数で表す。
上記の表現は複雑で、慣例上、(5)/(7)に示すように、酸や塩基の水溶液では、酸や塩基の分子が電離して水素イオンH+あるいは水酸化物イオンOH–を放出すると表現される。また、H2Oの濃度はほとんど変化しないので一定とし、H3O+をH+で表すと、(2)/(4)で示す平衡定数K’a/K’bは(6)/(8)で示すKa/Kbとなり、それぞれ酸解離定数または塩基解離定数という。
弱酸/弱塩基のka/Kbの値は小さく化合物によって大きく異なるので、その逆数の対数値pK(=-logK)で示すのが一般的である。Ka/Kbは温度、酸/塩基の濃度、共存する電解質の濃度により異なる。一般には、25℃、無限希釈の値が示されている。
ところで、酸・塩基反応は平衡反応であって、水素イオン/水酸化物イオンの濃度により変化する。例えば、(1)式に示す平衡では、塩基を加えて水素イオン濃度が減少(pHが上昇)すると平衡は右に移動する。反対に、酸を加えて水素イオン濃度が増加(pHが低下)すると左側へ平衡が移動する。このときA–は塩基として働きこれを酸HAの共役塩基といい、この平衡反応は次式で表される。
ここで、(6)と(10)の積は次式になる。
ここでKwは水のイオン積で温度によって決まる定数で、常に一定に保たれる。したがって、(12)が得られ、KaまたはKbのいずれかから、他方の値が求められる。
掲載日:2017年05月06日
更新日:2019年05月10日 H2CO3:pKa1 ⇄ pKa2、H3PO4:pKa1 ⇄ pKa3、にそれぞれ変更した。