村上定瞭(水浄化フォーラム)
Ⅰ.酸素消費速度の測定
1.酸素消費速度の測定装置
2.BOD除去と酸素消費量の測定
Ⅱ.酸素消費速度測定の応用
1.活性汚泥の殺傷-電解塩素処理
2.次亜塩素酸ナトリウムによる糸状菌の殺傷
3.超音波照射による汚泥基質化
<適宜、項目を追加する。>
1.酸素消費速度の測定装置
2.BOD除去と酸素消費量の測定
Ⅱ.酸素消費速度測定の応用
1.活性汚泥の殺傷-電解塩素処理
2.次亜塩素酸ナトリウムによる糸状菌の殺傷
3.超音波照射による汚泥基質化
<適宜、項目を追加する。>
Ⅰ.酸素消費速度の測定
1.酸素消費速度の測定装置
活性汚泥の酸素消費速度の測定は、そのプロセスの設計や維持管理において重要な知見となる。例えば、稼働中の曝気槽の混合液を採取して、その酸素消費速度を測定することにより、MLSS(または、MLVSS)について、その単位重量当たりの酸素消費速度 [O2-g/MLSS-g/d]を求めることができる。適宜、組成の異なる原水を用いると、そのときの酸素消費速度を求めることができる。ただし、前もって、その原水へ活性汚泥を馴致しておく必要がある。さらに、BOD = 0 [mg/L] の条件で測定すれば、内生呼吸速度も求めることができる。
編集者らは、汚泥減量型活性汚泥法の開発(2000年~)において、余剰汚泥の様々な基質化装置の開発を試みた。その際の基質化条件およびその装置の設計因子の決定に、図1に示す基質化処理後の酸素消費量・測定法を活用した。
また、汚泥のバルキングの原因となる糸状菌の殺傷においては、添加する次亜塩素酸ナトリウムが活性汚泥に対する影響を最小限に抑え、糸状菌に対しては最大の殺傷効果を示す至適条件の決定に役立てることができる。
図1に活性汚泥の酸素消費速度の測定装置の概略を示す。
(1) 同装置は、供試・活性汚泥に酸素を供給する円筒容器(メスシリンダー)と消費速度を測定する円筒密封容器から構成される。これらの容器をチューブで接続し、定量送液ポンプにより両容器内の混合液を循環させる。
密封容器の底面には円形ガラス板を置き、マグネチック攪拌子(大きいものがよい)を入れて低速回転で混合液を攪拌する。
(2) 密封容器内のDOが所定値に達したら、循環ポンプを停止して、時間経過とともに減少するDOを計測記録する。
(3) (2)の事例を図3(詳細は、後述)に示す。この図の傾斜 ΔDO/Δt から、次式により、活性汚泥の酸素消費量が計測できる。
編集者らは、汚泥減量型活性汚泥法の開発(2000年~)において、余剰汚泥の様々な基質化装置の開発を試みた。その際の基質化条件およびその装置の設計因子の決定に、図1に示す基質化処理後の酸素消費量・測定法を活用した。
また、汚泥のバルキングの原因となる糸状菌の殺傷においては、添加する次亜塩素酸ナトリウムが活性汚泥に対する影響を最小限に抑え、糸状菌に対しては最大の殺傷効果を示す至適条件の決定に役立てることができる。
図1に活性汚泥の酸素消費速度の測定装置の概略を示す。
(1) 同装置は、供試・活性汚泥に酸素を供給する円筒容器(メスシリンダー)と消費速度を測定する円筒密封容器から構成される。これらの容器をチューブで接続し、定量送液ポンプにより両容器内の混合液を循環させる。
密封容器の底面には円形ガラス板を置き、マグネチック攪拌子(大きいものがよい)を入れて低速回転で混合液を攪拌する。
(2) 密封容器内のDOが所定値に達したら、循環ポンプを停止して、時間経過とともに減少するDOを計測記録する。
(3) (2)の事例を図3(詳細は、後述)に示す。この図の傾斜 ΔDO/Δt から、次式により、活性汚泥の酸素消費量が計測できる。
単位体積混合液当たりの酸素消費量 [g-O2/L/d] = ΔDO/Δt [g-O2/L/min] x 1,440 [min/d] (1)
酸素消費量 [g-O2/d] = ΔDO/Δt [g-O2/L/min] x 1,440 [min/d] × V [L-密封容器] (2)
単位重量汚泥当たりの酸素消費量 [g-O2/g-MLSS/d] = ΔDO/Δt [g-O2/min] x 1,440 [min/d] x V [L-密封容器] / MLSS [mg/L] (3)
上記の単位は、g → kg、L → m3 に、それぞれ、置き換えることができる。
2.BOD除去と酸素消費量の測定
別ページ「活性汚泥法-基本設計・操作因子」で示す式(8)を書き直すと、式(4)で示される。
ここで、ΔBOD = 0 のとき、式(2)と式(4)から、式(5)が得られ、b’ の値が求められる。
また、初期 BOD および BOD の経時変化を測定し ΔBOD/Δt [g/L/d] を求め、これに密封容器の容積 V [L] を掛けて、ΔBOD [g-BOD/d] の値を得る。この ΔBOD 値、上記の b’ 値、MLSS [g/L] の測定値を、それぞれ、式(4)に代入すると a’ 値を求めることができる。
(1) ΔBOD = 0 の条件は原液投入を停止して、BOD ≒ 0 に達したときの混合液を供試して測定する。または、本装置を回分法として稼働し、別ページに示す図1のDO上昇を確認した後、循環ポンプを停止してDOの経時変化を測定して、ΔDO/Δt を求める。
(2) 初期BODの設定は、原液を一時的に多量・投入した曝気槽の混合液を供試して測定する。または、本装置の酸素供給容器(図1では、2L-メスシリンダー)に原廃水を投入・しばらく循環ポンプを稼働し、所定のDOに達してから、同ポンプを停止して、その後の ΔDO/Δt および ΔBOD/Δt を測定してもよい。
BOD測定-微生物電極を密封容器に装着すれば、簡単に、ΔBOD/Δt を測定できる。ただし、前もって、常法で測定した BOD 値と微生物電極で測定した BOD 値の関係を調べておく必要がある。
書籍・文献・資料等には、式(4)が多数見受けられるが、具体的な測定法が示されているものは極めて少ない。本測定法では、簡単に、様々な廃液に対して、係数 a’ および b’ の値を測定できる。また、SRT を変えたときの両係数の変化傾向(例えば、上記の基本設計・操作因子の図2)を求めることができる。
ここで、ΔBOD = 0 のとき、式(2)と式(4)から、式(5)が得られ、b’ の値が求められる。
また、初期 BOD および BOD の経時変化を測定し ΔBOD/Δt [g/L/d] を求め、これに密封容器の容積 V [L] を掛けて、ΔBOD [g-BOD/d] の値を得る。この ΔBOD 値、上記の b’ 値、MLSS [g/L] の測定値を、それぞれ、式(4)に代入すると a’ 値を求めることができる。
(1) ΔBOD = 0 の条件は原液投入を停止して、BOD ≒ 0 に達したときの混合液を供試して測定する。または、本装置を回分法として稼働し、別ページに示す図1のDO上昇を確認した後、循環ポンプを停止してDOの経時変化を測定して、ΔDO/Δt を求める。
(2) 初期BODの設定は、原液を一時的に多量・投入した曝気槽の混合液を供試して測定する。または、本装置の酸素供給容器(図1では、2L-メスシリンダー)に原廃水を投入・しばらく循環ポンプを稼働し、所定のDOに達してから、同ポンプを停止して、その後の ΔDO/Δt および ΔBOD/Δt を測定してもよい。
BOD測定-微生物電極を密封容器に装着すれば、簡単に、ΔBOD/Δt を測定できる。ただし、前もって、常法で測定した BOD 値と微生物電極で測定した BOD 値の関係を調べておく必要がある。
書籍・文献・資料等には、式(4)が多数見受けられるが、具体的な測定法が示されているものは極めて少ない。本測定法では、簡単に、様々な廃液に対して、係数 a’ および b’ の値を測定できる。また、SRT を変えたときの両係数の変化傾向(例えば、上記の基本設計・操作因子の図2)を求めることができる。
ここで、a’:除去されたBODの内、増殖エネルギー増殖エネルギーを供給するために使われる利用率(a + a’ = 1)、b’:体内呼吸による自己酸化率である。
b’ [kg-O2/g-MLSS/d] = 単位重量汚泥当たりの酸素消費量 [g-O2/g-MLSS/d] (ΔBOD = 0) (5)
図1 活性汚泥などの酸素消費速度の測定装置
本装置は正確な測定が可能であるが、市販品がないので、適宜、機器・容器・部品・送気/液用チューブなどを取り寄せて製作するとよい。適宜、機器・容器・部品・送気/液用チューブなどを取り寄せて製作するとよい。
<測定装置・制作上の留意事項>
容器:(a) 酸素供給用容器は、気泡の滞留時間を長くするため、メスシリンダーのような「高さ H>直径 D」の容器がよい。(b) DO測定用密封容器は、取り外しが可能な「ねじり式蓋付き容器」(透明)がよい。密封性のよい食品保存用容器などを百円ショップ・ホームセンターなどから入手するとよい。内圧が外圧より僅かに高いので、内液が染み出ないような容器とする。(a)/(b) の容積比は2倍以上とする。
DOセンサー等の取付:蓋に穴を空け、ゴム・シリコン栓に穴を空けて取り付けるとよい。プラスチック製ネジ型ジョイントにO-リングやパッキンを装着して、空気抜き・流出管(硬質チューブを装着し、軟質チューブに接続して曝気用容器へ返液する)してもよい。DOセンサーには、専用の密封固定器具が付属品として販売されているものもある。
空気抜き:容器内を満水にするため、必ず、空気抜きを取り付ける。観賞魚水槽用のエアチューブ・一方コックまたは理化学用ポリ2方コックを使用するとよい。
硝子板:密封容器について、硝子製容器では不要である。プラスチック製容器では、攪拌子の回転により底面が摩耗するので、円形の硝子板(適宜、ガラス・カッターで自作するか、外注する)を取り付ける。
エアポンプ:エアポンプは余裕のある送気量のものとする。観賞魚用のエアポンプで十分である。曝気球への接続チューブに T 字型エアコックを接続して、適宜、空気を逃がし、DOが所定の値になるように、曝気球への送気量を調節する。
循環ポンプ:ローラーポンプ・流量可変で、数分以内で循環できる能力を有するもの。
容器:(a) 酸素供給用容器は、気泡の滞留時間を長くするため、メスシリンダーのような「高さ H>直径 D」の容器がよい。(b) DO測定用密封容器は、取り外しが可能な「ねじり式蓋付き容器」(透明)がよい。密封性のよい食品保存用容器などを百円ショップ・ホームセンターなどから入手するとよい。内圧が外圧より僅かに高いので、内液が染み出ないような容器とする。(a)/(b) の容積比は2倍以上とする。
DOセンサー等の取付:蓋に穴を空け、ゴム・シリコン栓に穴を空けて取り付けるとよい。プラスチック製ネジ型ジョイントにO-リングやパッキンを装着して、空気抜き・流出管(硬質チューブを装着し、軟質チューブに接続して曝気用容器へ返液する)してもよい。DOセンサーには、専用の密封固定器具が付属品として販売されているものもある。
空気抜き:容器内を満水にするため、必ず、空気抜きを取り付ける。観賞魚水槽用のエアチューブ・一方コックまたは理化学用ポリ2方コックを使用するとよい。
硝子板:密封容器について、硝子製容器では不要である。プラスチック製容器では、攪拌子の回転により底面が摩耗するので、円形の硝子板(適宜、ガラス・カッターで自作するか、外注する)を取り付ける。
エアポンプ:エアポンプは余裕のある送気量のものとする。観賞魚用のエアポンプで十分である。曝気球への接続チューブに T 字型エアコックを接続して、適宜、空気を逃がし、DOが所定の値になるように、曝気球への送気量を調節する。
循環ポンプ:ローラーポンプ・流量可変で、数分以内で循環できる能力を有するもの。
Ⅱ.酸素摂取速度測定の応用事例
1.活性汚泥の殺傷-電解塩素処理
図2 電解塩素法による活性汚泥細菌の殺傷機構
a-Cell:活性汚泥細菌、d-Cell:死滅汚泥細菌
図2 電解時間と電解塩素の生成量
1L-電解装置、電解液:1%-食塩水(水道水)
電解時間30分以後では、有効塩素濃度が飽和(590 mg-Cl/L = 17 mmoL-Cl/L)に達している。1%-食塩水(= 17 mmol-NaCl/L)のCl–が全てClO–に酸化されていること示す。食塩水濃度を高くすることにより、生成する塩素濃度を高くすることができる。
図3 電解塩素処理した活性汚泥の DO 消費速度の測定事例
1L-電解装置、直流電圧 3V、電流 1A、供試・活性汚泥 MLSS 4,000 mg/L × 1L
電解時間20分以上では、DOの経時変化(減少速度)はブランクと同一で、活性汚泥が全て死滅していることを示す。
図5 屋内実験用の電解塩素・発生装置
図6 実験/小型施設用の電解塩素・発生装置
図7 実施設用発生装置の電解塩素・発生装置
2.次亜塩素酸ナトリウムによる糸状菌の殺傷
3.超音波照射による汚泥基質化
掲載日:2020年02月11日
更新日: